大学受験を突破するために、あるいは英文を読むためには英文法の習得は必須事項。しかし、少し待って欲しい。あなたが持っている英文法のテキストは『Next Stage英文法・語法問題―入試英語頻出ポイント218の征服』のような入試対策用の文法問題集ではないだろうか?

「文法が苦手→文法問題集をやろう」このような思考回路では、残念ながら英文法が得意になることはないだろう。英文法の勉強では「読解のための英文法」「文法問題のための英文法」この2つを区別して考えるとよい。

受かるための英文法の正しい勉強法を解説しよう。

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もうやめよう、いきなり文法問題集を解くことは

まずは、多くの高校生・大学受験生がしてしまう英文法の勉強を紹介したい。

  • いきなり文法問題集を解く
  • 中2~高1レベルの英文法をきちんと理解しない
  • 文法用語を覚えない

これらの特徴があると危険信号だ。「単語と文法をまず固めよう」といって、単語帳と文法問題集をゴリゴリ覚える勉強法はもう古い。しかし、いまだにこのような勉強法を提示する本・教師もいる。

英語が苦手な人はまずうまくいかない。いきなり文法問題集を勉強しても「なぜその答えになるのか」が理解できず、ただの丸暗記になってしまうだろう。

後述するが文法問題は「構造把握」「和訳」も重要だ。しかし基本的な「読解英文法」が出来ないと構造把握や和訳すらまともに出来ない。この状態で勉強しても意味はほとんどない。

英文法の勉強では「読解に必要な英文法」の習得に集中しよう。入試問題で出題される文法問題は「英語長文・英文速読の勉強法の全て」でも解説したように、

  • ①読解英文法を習得し
  • ②長文読解力を身に付けてから
  • ③文法問題対策に取り組む

長文問題対策がひと段落してから取り組むくらいでちょうど良いのだ。

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「読解英文法」を真っ先に習得しよう!

読解英文法は、長文読解力に直結するので非常に重要だ。私が呼んでいる読解英文法とは、中学~高1・高2までで習う基本的な英文法のことだ。具体的には以下の事項が重要だ。

  • 5文型
  • 準動詞(不定詞・動名詞・分詞)
  • 接続詞(名詞節・副詞節)
  • 関係詞

これらの英文法が読解には重要だ。これらの文法事項、例文を見てそれぞれ自分で解説できるだろうか?

  • 目的語Oはどの品詞がなるか? 補語Cは?
  • 不定詞とは? どの品詞になれるか?
  • 動名詞とは? どの品詞になれるか?
  • 分詞とは? どの品詞になれるか? 分詞構文とは?
  • 関係詞の先行詞、主格、目的格、前置詞+関係詞を説明できるか?

これらの事項は最低限「完璧に」説明できないとダメだ。

英文法用語もきちんと覚えよう!

  • 句と節の違い
  • 名詞・動詞・形容詞・副詞の働き
  • 形容詞と副詞の違い
  • 「完全な文」と「不完全な文」の違い
  • 意味上の主語とは
  • 等位接続詞と従属接続詞とは

学校の授業や参考書では文法用語が出てくるが、それが完璧にわかっていないと理解不足になってしまう。こういった「授業や教科書でもはや習わないくらい基本的な用語」というのはスコトーマ(盲点)になる。

文法問題の解き方・考え方の基本

ここでは文法問題、整序問題、正誤問題などに共通する文法問題の解き方・考え方を解説しよう。見落としがちな読み方・考え方は以下の2つだ。

  • まず構造把握をする
  • 英文の意味をしっかりと考える
  • 何が問われているかを考える

文法問題(共通テスト第2問A)の解き方

2014年度共通テスト英語 第2問A
次の問いの(  )に入れるのに最も適当なものを、それぞれ下の①~④のうちから一つ選べ。

問1.When I looked out of the window last night, I saw a cat (  ) into my neighbor’s yard.

① is sneaked ② sneaking ③ sneaks ④ to sneak

まず構造把握と和訳を丁寧に行う

[When I looked out of the window last night], I saw a cat (  ) (into my neighbor’s yard).
私が昨夜窓から見た時、私は見ました/隣家の庭に猫~…

I saw a catまではSVO。ここで選択肢を見ると①は受け身の形だからナシ。③は動詞に三単現のsが付いているからナシ。

②は動名詞か分詞。動名詞は名詞で、sawにはSVOO文型はなく、(  )にOは入りえないのでここでは分詞。④は不定詞。

 

何が問われているかを考える

ここで注目すべきはsawだ。seeの知識を問われている。この問題のように、選択肢がVに関するものならば、文の述語動詞に注目しなければならない

seeは知覚動詞といって、SVOC文型を取る。Cの部分は不定詞を取る場合は原形不定詞でないといけない。だから④のto sneakはナシ。②のsneakingが正解だ。

ちなみに、①のis sneakedは、be sneakedならばOK。③のsneaksも、原型不定詞のsneakならば正解となる。このように間違いの選択肢を正解に直す作業も必ずしてほしい。間違いの選択肢も、今回のsee(知覚動詞)の関連知識だからだ。1個の問題を解いたら4つの知識を確認することが出来るということだ。

私大の文法問題(学習院大学法学部)の解き方

私大とは言っても共通テストとさほど変わらない。

2011年度 学習院大学法学部 Ⅳ
(1) Mr. Davis wrote a letter of ( ) to the company about the washing machine he bought from them.
(イ)complaint (ロ)conference (ハ)consequence (ニ)contribution

まずは構造把握と正確な和訳。

Mr. Davis wrote a letter of ( ) (to the company) (about the washing machine [he bought from them].)
デーヴィスさんは、その会社から買った洗濯機について、その会社宛に○○の手紙を書いた。

companyは集合名詞で複数扱いになるから、themはcompanyのこと。

ここまで正確な和訳を作れば、文脈的にどの単語が入るかわかるはず。ロとハは意味的に明らかに違う。

なんとなく訳しただけでは、toにつられてcontributionを選んでしまいそうだが、正解はcomplaint。正確な和訳・文脈に即して解かなければまんまと引っかかってしまう問題だ。

 

整序問題(共通テスト第2問C)の解き方

整序問題を苦手とする受験生は多い。まず強化すべきは熟語・構文だ。熟語構文を知らないと、絶対に正解を導き出せない問題も多い。熟語はともかく、構文の勉強はやらない受験生が多いが、しっかりと覚えるべきだ。

2014年度共通テスト英語 第2問C 整序問題
次の問い(問1~3)において、それぞれ下の①~⑤の語を並びかえて空所を補い、最も適当な文を完成させよ。解答は21~26に入れる物の番号のみを答えよ。

問1
Dan: How did you health check go?
Mike: Not bad, but the doctor (21)  (22)

①advised ②exercise ③get ④me ⑤regular ⑥to

 

構造把握と訳、時制を把握

まずは構造把握と和訳だ。「ダン:健康診断はどうだった?」という質問に対して、マイクは「悪くなかったよ、でも医者が・・・」という文脈である。

「悪くなかった、でも…」と続く先には、「健康には注意した方がいい」というような発言が続く気がする。butという接続詞に注意して、後ろの文のニュアンスをここでキャッチすることが重要だ。

ここでは、まずthe doctorがSだと考えて問題ないだろう。もう一つ気を付けてほしいのは、ダンの発言は時制が過去ということだ。(did)

the doctorがSだと考えれば、続く最初の語はVだと考えてよい。

選択肢の品詞、語の組み合わせを考える

次は各選択肢がどのような役割で使われそうか考える。

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regularは形容詞だから、名詞とセットだ。この中でつながるのはregular exerciseしかない。よって「regular exercise」の句を作る。exerciseは動詞としても使われるが、ここでその線は消える。形容詞がCの可能性もあるので、ここで即断しなくてもよい。

toは前置詞のtoか、不定詞のtoかここだけでは判別しづらい。

①advisedは動詞だ。過去形か過去分詞である。これが述語動詞と即断していいだろう。なぜなら、質問の時制が過去なのだから、応答文の時制も過去にするのが基本だからだ。これは中学英語の知識だ。

the doctor advised

advisedは他動詞だから、後ろは目的語O(名詞)が来ることになる。ここで選択肢をチェックすると、②exerciseか④meが入ることになる。ただし②はさっきの吟味で消した。

ここで、advisedがどのような文型を取るか気づいた人は鋭い。「S advised O(人) to V」という構文に気付けばこの問題は即答できる。

the doctor advised me to …

toは不定詞のtoだ。後ろは動詞の原形。to get exercise(運動する)と作れば文意が通る。さっき組み合わせた「regular exercise」とすればOK。

よって、答えは

the doctor advised me to get regular exercise

となる。adviseという単語がどのような文型を取るかを聞いている問題だと思われる。

最後に訳して文意が通るか確認。「医者は定期的な運動を取れって言ったよ」問題ない。

 

ここで、advisedの文型がわからなくても問題は一応解ける。

the doctor advised me …

まで作った時点で、残った組み合わせは「to , regular exercise, get」だ。

getは動詞だから、ここは「get regular exercise」と作るのが自然だろう。残ったtoはgetの前につけてto getとすればよい。このように解くことも可能。ただadvisedの文型知識は知っていないとダメ。

 

整序問題は熟語構文の知識で攻略せよ

2014年度の並び替え問題は、問2「talk A into B」問3「get caught in A」といった熟語構文重視の問題だったようである。これらの知識がないと答えられないし、答えられたとしても時間がかかってしまう。

私は各問を解くのに1分もかからなかったが、C問題の3問に5分以上かかってしまった人は熟語構文をしっかり覚えるようにした方が良い。

2013年度の問題も、「as ~as 」「owe A to B」「形容詞+enough to」といった熟語構文がポイントとなる問題だ。

熟語構文の確かな知識がないと整序問題で満点を取ることは難しい。読解の上でも必須の知識なのだから、しっかり覚えておくことが望ましい。

 

試験での得点を確実に伸ばす実戦的な英文法勉強法

ここでは、ネクステ―ジやアップグレードなどの文法問題集の勉強法について解説しよう。

まずは構造把握と丁寧な和訳

前述のように、文法問題を解くときはまず正確な構造把握と和訳をしなければならない。文法問題の英文の構造把握と和訳が満足に出来ないようなら、文法問題の勉強をする段階ではないと認識しよう。

英文解釈のやり方については「英文解釈の勉強法」を参考にしてほしい。

説明しながら解けるようにする

文法問題を復習するときに「問2は…②だね」と、根拠も明示せずに解く人がいるが、これでは全くの意味がない。これはただ答えを覚えてしまっているだけだ。このように勉強している人は、他の問題になるとあっさり間違えてしまう。

実際「ネクステ―ジを4周しました」と言っている生徒がいたが、共通テストの第2問では半分程度しか取れない。「『桐原1000』を勉強した」と言っても同じくらいの点数しか取れない…。

このような人は問題を「ただ解けるだけ」の状態なのだ。なぜその答えが正解になるのか。どういった文法事項を持って正解になるのかという説明まで出来るようにならなければ、文法問題の正答率は決して上がらない。

ここだけの話だが、実は私も文法問題はあまり得意ではなかった。受験生時代の共通テストでも、たしか3つくらい文法問題で落とした記憶がある。長文読解の勉強ばかりして、文法の勉強はあまりしなかったせいだ。

しかし、2014年度の共通テスト英語は193点、文法は1ミスだった。今年の文法が非常に簡単だったのもあるだろうが、私が生徒に英文法を教える機会が多いためであると考えている。

教えることで自分の知識の不十分さを自覚し、理解を深めることが出来るのである。教えることは問題を解く思考回路をアウトプットしているのだ。力が付かないわけがない。

このように「誰かに教える、あるいは教えるように解き方を説明する=シャドウティーチング」を繰り返すことで応用力・実戦力の高い文法力を付けることが出来る。

  • 教えることは最高のアウトプット法

思考回路の高速化トレーニング

以上の勉強が出来たら、問題を解けるようにはなる。ただし、さらに復習を繰り返して、正しい解答を選ぶ思考回路を体に覚えさせる必要がある

そのために、1問あたり10秒以内で解けることを目安に問題を復習しよう。スラスラ英文を読み、和訳し、シャドウティーチングをすれば可能な時間なはずである。

途中で思考回路が詰まったり、スピードダウンしたりすることは定着不足ということだ。何度も復習を行っていかなければならない。

音声を聞いてシャドウイング

最後は、英文を音声で聞いて音読できるようにする練習だ。リスニング、英文読解力、さらには「正しい英文に慣れる」効果がある。

「正しい英文に慣れる」効果によって、「この選択肢は不自然だ」とフィーリングでも問題が解けるようになる。どうしても答えを選べないときに、「こんな形は見たことないな・この選択肢だと不自然だな」という感覚も重要だ。(おそらくネイティブは日本人のように理論立てて正解を選ばない)

英文を何度も音読して「正しい英文に慣れる」ことも文法問題には重要だ。英語慣れしている人が、特に英文法の勉強をしなくても問題が解けることも、慣れていることに原因があると考えられる。

一度勉強した英文は、文法の知識を丸ごと体に刻み付けるようなイメージで音読練習をすると良い。

『ネクステ―ジ』は桐原書店のHPで第1問からの英文音声が無料でダウンロードできる。本にCDは付属しているが、それは会話問題・発音アクセントだけだ。

必ずダウンロードして音声を活用するようにしよう。

おすすめ英文法参考書

参考書については「おすすめ 英文法参考書」もチェックしてほしい。

Mr. Evine の中学英文法を修了するドリル

中学レベルから高校英語レベルにスムーズにつなげるための文法ドリル。SVOCなどからイマイチわかっていない人におすすめだ。「Mr.Evineの中学英文法を修了するドリル」に詳しく書いてある。

安河内の〈新〉英語をはじめからていねいに

東進ブックスは安河内先生以外にもこういった高校英語入門書が出ているので好みで選ぶとよい。

一億人の英文法

英文法を勉強したとき「なぜこうなるのか?」といった些細な疑問に答える参考書。一読すると、英語の勉強がとても「理解できる」ものになる。今まで丸暗記するしかなかった英文法事項をイメージで理解できるようになる。

難関大学を目指す人は、勉強の合間に読書感覚で読んでみると良い。

応用と実践の提案

本記事の「英文法を解くときの思考回路・手順」を見ながら英文法を解く。「構造把握」「和訳」「何が問われているか考える」このルールを遵守する。

「読解英文法」を1カ月以内に修了し、英文解釈や英文読解の勉強をいち早くスタートする。

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