今回は「サイトトランスレーション」という学習メソッドを本格的に取り入れた新しい英語リーディング教材『大学入試東大英語長文が5分で読めるようになる』シリーズをご紹介する。

本シリーズは『速読英単語』のように、設問がなく、長文を多読して速読力と英単語を身に付けるというコンセプトの参考書だ。

「東大」というタイトルが付いていることから、その対象者や使用法に誤解を持つ人も多いようなので一度しっかりご説明したいと思う。

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『東大英語長文が5分で読めるようになる』とは?

『大学入試東大英語長文が5分で読めるようになる―英語通訳トレーニングシステム・3ステップ方式』はいわゆる『速単』と似たようなコンセプトの参考書。長文を読みながら単熟語、読解力、リスニング力などを同時に鍛えることができる。

  • [ジャンル]速単系(設問がない長文読み込み教材)
  • [使用目的]読解力、速読力、語彙力、リスニング力の強化
  • [勉強目標]各英文をスラスラ読み聴きできる
  • [対象者]速読力・リスニング力を身に付けたい人(シリーズ共通)

語学春秋社のHPでサンプルが見られる⇒「東大英語長文が5分で読めるようになるサンプル

主な内容は以下の通りだ。

  • 英単語を「クイックレスポンス」という方法で効率よく覚える
  • 短めの長文の音声を聴き、1文1文スラスラ音読して理解できるようにする
  • 英文をスラッシュ毎に音読し、瞬間的に和訳できるようにする

『東大英語長文が5分で読めるようになる』を勉強すれば、他の英語長文を勉強する時にもその音読のやり方を応用することができる。

3つの学習メソッドの概要

『東大英語長文が5分で読めるようになる』シリーズでは一貫して以下の3つを基本として進められる。

  • クイックレスポンス
  • シャドウイング
  • サイトトランスレーション

 

クイックレスポンス

これは英単語暗記の方法だ。簡単に言うと「正しく発音を覚える」「日本語を見て英語を即答できるようにする」という2つを徹底的にトレーニングする。

意外に日本語→英語を即答するというのがポイントで、ほとんどの英語学習者は日→英の暗記作業をやっていないのではないだろうか。著者曰く「みんなは日本語じゃなくて英語を勉強したいんだろう?だったら、日本語の訳語を覚えるんじゃなくて、日本語を聞いて英単語を言えるようにするだけでいいんだ。」

たしかに、日本人は日本語を言う練習はしても、英単語を言う練習をすることが少ないように感じる。中には英語をほとんど発音しないで覚えようとする人もいるほどだ。日→英を基本とし、常に英単語を発音していくということが、英単語学習では重要だ。

 

シャドウイング

シャドウイング(追い読み)とは、CD音声のすぐ後に続いて自分も英文を声に出して読んでいくことだ。感覚的には1語遅れで読んでいくイメージ。これを行うことで、以下の3つの効果がある。

  1. ネイティブと同じ発音・イントネーションなどを身に付けられる
  2. リスニング力を高められる
  3. 練習を重ねればいちいち訳さなくても英文を「直読直解」できるようになる

試験でリスニングがある人はもちろん、リスニングがない人にもシャドウイングは有効だ。特に速読力が重要になる試験を受ける人なら、「直読直解」はぜひ出来るようにしておきたい。

 

サイトトランスレーション

サイトトランスレーションとは、同時通訳者のように英文を前から聞いてカタマリごとにどんどん訳していく勉強法のことだ。「スラッシュリーディング」という勉強をしたことがある人なら、ほとんど同じようなものだと思ってもらっても構わないだろう。

英文をある程度のカタマリごとに区切って、そのカタマリごとに前から訳していく。返り読みをしないで英文を理解する練習を積み重ねることで速読力とリスニング力を身に付けられる。

特にリスニングでは返り読みをしていては絶対に出来るようにはならず、したがって前から訳す練習が必要になる

また、最初は頭の中で訳すだけではなく、実際に訳を声に出しながら行うことも必要だろう。頭の中でなんとなく訳せても、実際に声に出すとなるとけっこう難しい。わかったフリを防ぐためにも読み込みの初期段階では声に出して和訳を言うことをおすすめする。

 

内容は東大とは一切関係がなく、学習者全てに薦められる

本書はタイトルに東大とついていることから、一件「東大受験者専用の参考書」と思ってしまうが、実際はタイトルと内容は関係がない。志望大学に関係なく、すべての大学受験者に薦められる。

タイトルの誤解の生みやすさから批判する人もいるが、きちんと中身を見てから買うことのできない人のレビューなので気にしないこと。本のタイトルは完全に著者が自由に決められるものではないようなのでその点はわかっていただきたい。

 

『東大英語長文が5分で読めるようになる』の良い点

一番の目玉は「正しい英語の英文読解・速読の勉強法」が身に付くこと

類書と比較すると、本書の前書きに「音読のやり方」は載っていても、それだけではわからない人もいる。英語初心者ならば、音読のやり方を文字で説明されるだけではわからないものだ。

本書はCDの中で著者の小倉先生が1つ1つ丁寧に「英単語の覚え方」「シャドウイングのやり方」「サイトトランスレーション」のやり方を説明してくださっている。

音読の学習法をCD講義で解説してくれている参考書はほぼない。サイトトランスレーションの説明をしている本は『東大英語長文が5分で読めるようになる』が唯一といってもいいくらいだろう。

多くの受験生は1つの長文を解いて終わり、3回読んで終わり、といった勉強をしている

『東大英語長文が5分で読めるようになる』はスラスラ読めるようになるまで徹底的にトレーニングを「半ば強制的に」やらせる。正しい英語の勉強法を、参考書学習を通して身に付けられるというのは非常に素晴らしい点だ。

1冊を通して身に付く英語力だけでなく、その後の英語学習への波及効果が高いことを考えると、『東大英語長文が5分で読めるようになる』を勉強するメリットは非常に大きいと言える。

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語彙力、速読力、リスニング力が同時に鍛えられること

1つの長文を徹底的に読み込む、聴き込むことで主に速読力とリスニング力を鍛えることができる。もちろんこれは他の参考書を使っても同じだが、『東大英語長文が5分で読めるようになる』はCDが付いているのでリスニング力なども身に付けやすくなっている。

 

(単熟語編は)英単語と英熟語を1冊で覚えられること

『速読英単語』『キクタンリーディング』などの類書と比較すると、英単語と英熟語のどちらも収録しているため、1冊でバランスよく語彙力を鍛えることができる。

たとえば共通テストレベルである『東大英語長文が5分で読めるようになる 英単熟語編』 をやれば共通テストレベルの英熟語を効率よく覚えられる。(英熟語帳は共通テストレベル、二次レベルと段階分けしていないものが多いため)

 

『東大英語長文が5分で読めるようになる』使用上の注意点

基本的な語彙、文法、解釈は終わらせておくこと

『東大英語長文が5分で読めるようになる』の基本コンセプトは英語長文の速読力強化だ。ページ数の都合もあるのか、構文解説などは一切ない。

そのため、基礎力のない者が本書を使って「構文解説もない、ダメだ!」と言うこともあるが、それはそもそもこの参考書の使い方を理解していない評価に過ぎない。

もちろん欲を言えば速読英単語』シリーズのように、簡潔な構文解説が欲しいところだが、そもそも速読練習は「自分のレベルより易しめ」の英文を読むのが良いとされる。したがって「構文解説がないと読めない」ようなレベルの人はそもそも使うべきではないのだ。

『東大英語長文が5分で読めるようになる』を使いたいなら、後述する参考書を終わらせてから勉強するべきだ。

本書の言うことを愚直に守って勉強すること

あまりに当たり前すぎていちいち説明したくないのだが、言われた通りに勉強することすら出来ずに「学力が上がらない」とか「本書はだめだ」という論外な人もいる。

本書では主に「クイックレスポンス」「シャドウイング」「サイトトランスレーション」といった学習法を推奨し実践させる。これらの方法にいちいち疑問を持つような人間の成績が伸びることは決してない。

確かな実績のあるメソッドであり、きちんと実践出来れば必ず効果があると保証できる。効果の出ない人は単に「100%忠実に勉強できていない」だけである。まずは言われた通り1か月は続けよう。

 

 

『東大英語長文が5分で読めるようになる』スペック

  • [問題数]16文
  • [難易度]共通テスト易しめ:100語程度(後半は600語)の英文
  • [到達レベル]共通テスト5割→6割
  • [勉強期間]1か月:1文×16日+読み込み復習
  • [対象者]長文を読み始めたい人、音読学習法を身に付けたい人

『大学入試東大英語長文が5分で読めるようになる』は最も易しめで、題材は共通テスト14題、東大2題。英文数も16題と少なめで、共通テストの英文は100語程度と短めだ。

英語初心者が繰り返し読み込みを繰り返すために十分な内容になっているはず。タイトルを無理やり解釈するなら「東大を目指す高校生が中3~高1時点で取り組んでおきたい本」になるだろうか。

偏差値の高くない高校の学生なら出来れば高1、遅くても高2の間に取り組んでおきたい参考書。正しい音読のメソッドを身に付けて多読をして、進学校の生徒にも負けない読解力を身に付けるための一歩としてほしい。

サンプルはこちらから見ることができる。

 

『東大英語長文が5分で読めるようになる英単熟語編』スペック

  • [問題数]40文
  • [難易度]共通テスト
  • [到達レベル]共通テスト6割→7割8割程度
  • [勉強期間]1か月:2文×20日+総復習
  • [対象者]共通テストで時間が足りない人・共通テストリスニング対策

『東大英語長文が5分で読めるようになる 英単熟語編』はおよそ共通テストレベル。平均200語程度(100語~300語)のやや短めの長文を40題読み込んでいく。共通テストで時間内に「理解して」英文を読み切れない人が勉強すると良い。

こちらのページに「サンプル」があるので、チェックしておこう。

 

『東大英語長文が5分で読めるようになる英単熟語編Vol.2』スペック

  • [問題数]39文
  • [難易度]難関:標準的な二次試験レベル
  • [到達レベル]共通テスト8割→9割、マーチレベルの長文が読める
  • [勉強期間]1か月:1文×19日+総復習
  • [対象者]共通テストよりやや難しめの長文を多読したい人

『東大英語長文が5分で読めるようになる 英単熟語編 Vol.2』はおおよそ二次レベルの本。早慶レベルほどではないが、マーチレベルの受験生にはおすすめできると思う。意外に速単系でこのレベルのものは少ないので貴重。

速読英単語 (1) 必修編 改訂第5版』や『キクタンリーディングAdvanced6000』は各英文が短いため、このレベルのリーディング教材で長めの長文に慣れておきたいなら、この本が最もおすすめできる。

 

やる前に身に付けておくべき学力

『東大英語長文が5分で読めるようになる』は構文解説がないので、英文解釈の勉強はあらかじめ終わらせておく必要がある。

あらかじめ英文解釈をしっかり押さえておけば、読み込みの段階でつまずくことは少なくなるはずだ。解釈に不安の残る人は、『速読英単語』や『キクタンリーディングBasic4000』の方が良いだろう。

 

『東大英語長文が5分で読めるようになる』の使い方

毎回言っているようで恐縮だが、基本的な使い方は本書のCDの指示通りにやれば何の問題もない。

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