大学受験、入門レベルの英文解釈書のベストセラー『英文読解入門基本はここだ!―代々木ゼミ方式 改訂版』について解説する。

大人気の参考書である本書の効果的な使い方、注意点、相性の良い参考書、そして最後に批判を書いてみようと思う。

 

スポンサーリンク

基本はここだのレベルと構成、英文数語数

  • [ジャンル]英文解釈
  • [問題数]例題50個(総英文数は全部で300程度)
  • [難易度]易しめ:中学~高校英文法の講義本をしっかり読んでいればOK
  • [到達レベル]入門→基礎:共通テスト3割→6割の短文解釈力
  • [勉強期間]1日2例題で1か月程度で1周、1日5例題10日で2周、以降は完ぺきになるまで反復
  • [使用目的]入試問題の1文を正確に和訳できるようにするため
  • [勉強目標]全英文を地力で「構造把握」「音読」「和訳」出来るようにする
  • [対象者]教科書の英文をまともに読めない人

『基本はここだ!』は高校1年生レベルの短文を読みこなす英文解釈力を養成するための参考書だ。1行程度の短い英文を読める力を付けることができる。

『基本はここだ!』の言葉通り、英文読解で本当に大切な基礎知識を身に付けることができる。

著者である西きょうじ先生が「英文を読むためにはこのような手順で考えようね」という英語を読む際の思考回路を習得できる。

対象レベルとしては、共通テストの英語で100点も取れない人。このレベルの人は共通テストレベルの単熟語と解釈力が足りていないので、単熟語と『基本はここだ!』を勉強して1文をなんとか読めるようにしよう。

参考書の構成。例題を初めに挙げて訳させて、そのあと文法解説を行う。適宜、類例を交えながら各英文の読解事項を解説していく。

ときおり「Let’s Try」という入試レベルの演習問題を配置して、入試レベルの英文解釈力を養成する。

英文数は以下の通りだ。

  • 例文:121
  • 類例:168
  • Let’s Try:18(合計307)

英文数は全部でおよそ300本総語数はおよそ3000語。共通テストレベルの英文を読むために必要な基礎知識は一通り網羅できるだろう。

ただし『基本はここだ』だけだと2行以上の長めの英文を読む経験値が全然足りないので『入門英文解釈の技術70』や長文を読んで、長めの1文にも慣れる必要がある。

スポンサーリンク

基本はここだを使用する際の注意点

『基本はここだ!』は文法用語をけっこう多用している。文法用語を押さえていないと、解説が硬くて理解できないかもしれない。基本的な英文法と文法用語はきちんと覚えておこう。

  • 名詞がSOCになる
  • 形容詞は名詞を修飾する、Cになる
  • 副詞は名詞以外を修飾しSVOCいずれにもならない
  • 前置詞は「前置詞+名詞」を作りMになる
  • 節とはSVを含んだ語のカタマリ
  • 句とはSVを含まない語のカタマリ
  • 従属接続詞と等位接続詞の違い

以上の文法事項は最低限押さえていないと解説が理解できないと思う。その際は

などを勉強しておけばスムーズに勉強できるだろう。 

基本はここだの次は何をやるべき?

一般的には『基本はここだ!』→『基礎英文解釈の技術100』の接続が人気のようだ。私もこの接続で勉強できたが、ややレベルが離れすぎている感もある。

私は『基礎英文解釈の技術100』ではなく『入門英文解釈の技術70』をおすすめしておく。

姉妹本の『ポレポレ英文読解プロセス50―代々木ゼミ方式』はレベルが相当高いので、『基本はここだ!』からの接続は無理だと思っていい。

スポンサーリンク

姉妹本だからと言ってそのままつなげないように注意しよう。 

基本はここだの効果的な使い方・勉強法

基本的な勉強法や英文解釈で身に付けてほしい技術は「4か月で偏差値が20アップする英文解釈・英文和訳のやり方と勉強法」を参照してほしい。

ここでは簡単な手順やポイントを書いていこう。

  1. 和訳をノートなどに書く。その際、自分なりにSVOCMを考えてから訳す。
  2. 解説を読み、自分の構造把握と和訳が正しかったか確認。間違った部分はどこか丁寧に分析して解説を熟読する。
  3. 類例やLet’ Tryも同じように勉強して習熟していく。
  4. 今日の分を勉強したら復習する。「①英文を音読し②SVOCMなど構造把握③和訳する」の手順でスラスラできるまで復習。
  5. 翌日、3日後、1週間後などに復習する。
  6. 上記の復習をしたうえでさらに3周4周繰り返す。
  7. 1か月後、2か月後にも復習する。

『基本はここだ!』は何十回も復習する価値のあるテキストだ。すべての英文を完璧に説明できるようになるまでしつこく復習しよう。

何周もすることで、1周目では完全に理解できなかった部分も、どんどんわかってくるようになるはずだ。

何度も復習して飽きてきたら、英語が苦手な友人に英文を解説してしまうのもうまい復習方法だ

あえて大好きな基本はここだの不満を言ってみる

『基本はここだ!』は私の受験生時代の相棒と言っても良いくらいずっと繰り返した参考書である。

『現代文へのアクセス』と並んで、一番繰り返したんじゃないかと思う。数え切れないくらい復習した本だ。

そんな『基本はここだ』を、いまあえて勇気をもって批判してみる。これは『基本はここだ』に代わる参考書もあるんだよと受験生に知ってもらいたい。また『基本はここだ』に代わる入門レベル解釈書がもっと出てほしいという目的・願いを持って行うことだ。愛を持った批判だということを理解していただきたい。

CD音声がない

『基本はここだ!』にCD音声がないのは最大の不満だ。もちろんこれは『基本はここだ』に限ったことではない。

ただこれからの英語参考書に音声は必須だと思う。長文テキストだけでなく、英文解釈でも例外にしてほしくはない。

昔からある解釈参考書は例外なくCDが付いていない。最近出た『入門英文解釈の技術70』などはCDが付いて、何倍も習得しやすくなっている。CDが付いていることで定着率、速読力、リスニング力などを効果的に向上させることができるのだ。

レイアウトが単調

これは大した問題ではないかもしれないが、欲張るならレイアウトも見やすく飽きないものにしてほしい。

あまりにカラフルなものだと逆に見づらいが、適度に色を付けてもいいのではないだろうか。代々木ライブラリーの参考書はだいたいこのようなレイアウトなのだが。

SVOCMや修飾関係が図示されていない

『入門英文解釈の技術70』では各品詞のSVOCMや修飾・被修飾関係を図示しているので、文構造が非常にわかりやすくなっている。

一方、基本はここだにはそれがない。私が勉強していた時は別に不満は感じなかったが『入門英文解釈の技術70』と比較してみると、やや不満が出てしまう。

基本はここだのライバル本

個人的に『基本はここだ』のライバルになるだろうと期待している『スマートリーディング』という参考書がある。あらゆる面で『基本はここだ』を上回るスペックであり、『入門英文解釈の技術70』も食ってしまうんではないか(それは早計か)と思うくらい充実した本だ。

このような使いやすい参考書が出ている中、『基本はここだ!』を以前よりも積極的に薦められなくなっているかもしれない。

とはいえ、『基本はここだ』レベルの解釈書は少ないので、まだ本書を薦めざるを得ない状況だ。

『スマートリーディング』は英文数がかなり多いので、非難関大学志望者や共通テストのみの人には扱いづらいかもしれない。

共通テストのみ人向けで、『入門英文解釈の技術70』よりも易しいレベルのテキストを桐原書店さん、お願いします。でもその場合「入門」以前の名称が思い浮かばないなぁ。

『基本はここだ!』は本気を出せば1週間2週間で終わらせることが出来る本なので何度も繰り返しやすいという点ではメリットもある。問題点は挙げたが、それでも自信を持っておすすめできる本だ。

ただやっぱり最大の不満はCDがないこと。そろそろ大改訂してCDをつけてもいいんではないでしょうか、西先生。西先生の所々に挟むコメントが好きなんです。

スポンサーリンク