大学受験において、数学は非常に重要な科目の1つだが、英語と同様に苦手とする人が本当に多い。私もその一人だった。
数学が苦手な人が多いのは、確実に力がつく数学の勉強法が知られていないからだろう。英語と同じく「数学難民」「数学嫌い」の人はかなり多いはずだ。
ここでは時間はかかるが真っ当な数学力が身に付く勉強法を解説していく。
今回は理系の先生に協力をいただいて記事を執筆した。
私は数学がめちゃめちゃ得意なわけではないが、だからこそ極端に数学が苦手な人のための勉強法も解説出来たはずだ。
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数学を攻略するための前提知識
数学は暗記が重要?それとも理解が重要?
和田秀樹氏が「暗記数学」を提唱したことから、受験数学の勉強法では暗記が重要だというのがだいぶ広まっているように思う。しかし、この「暗記」という言葉を勝手に解釈して、理解なき丸暗記の勉強法に走る受験生もいる。
はたして、どちらが正しいのか。
当たり前の話だが、理解も暗記も重要に決まっている。どちらかが欠けていては絶対にダメなのだ。
例えば社会なら、丸暗記でもけっこう得点することが出来る。では英語はどうだろうか?単語や文法を暗記するだけで出来るようにはならないだろう。数学も全く同じで、公式を暗記するだけでは決して出来るようにはならない。
- 公式をいつ使うのか
- どのような手順で解くのか
- なぜこの解法をここで使うのか
こういったことを理解した上で、完全に身体で覚える必要がある。あまりに当たり前の話だが、時に忘れてしまうことなので、大前提として最初にお話しした。
数学の勉強法で求められる力とは何か?
数学の試験では、一体何が問われているのか。数学力をここでは様々なパーツに分けてみた。
- 知識
- 計算力
- 読解力
- 分析力
- 記述力
知識
知識とは、数学用語や基本公式、基本的な解法など、数学を解くためには絶対に欠かすことのできないものだ。まずはここをきちんと覚えないとお話にならない。したがって、ここだけは外さないように勉強してほしい。
- 数学用語や公式
- 基本的な解法知識
数学が得意な人は、1つに知識が圧倒的に多い、という特徴がある。英語なら単語や文法、構文をたくさん記憶しているようなものだ。
たとえばチャート式に代表される問題集では、典型問題を解くときの解法を解説している。この解法を出来るだけ多く覚えていくのが「暗記数学(和田秀樹氏が提唱)」の勉強法の基本方針である。
実際、数学が得意な人はたくさんの解法を覚えている。理系で偏差値が60以上ある人は『青チャート』などの基本例題、重要例題くらいの解法は全て覚えているだろう。
単純な問題ならば、この解法をどんどん覚えてストックするだけでたいてい解けるようになる。前述のように、数学は「知っていれば解ける、知らなければ解けない」という面もある。
勉強全体を通して常に知識をストックする作業が必須になってくる。もちろん知識一辺倒になってはいけないことは押さえておこう。
計算力
数学が苦手な人は、まず間違いなく計算力が弱い。計算してもミスばかり、計算するのが遅いので、数学の勉強自体が非常に非効率になる。
・あ~。また計算ミスで失点しちゃったよ。いつもここでミスるんだよな。
・うーん、この問題全然わからん。解説見てみよう。…なんだ、単にここの計算間違えているだけじゃん…。
このように、計算力が低いと普段の勉強も非効率になるし、試験で結果を出すことも出来ない。
計算が強い人は一体どうやって勉強しているのだろうか。単純に、膨大な計算トレーニングをしているだけのことが多い。進学校の生徒は毎日、手が筋肉痛になるくらい厳しい制限時間の計算問題を解かされているそうだ。
中学~高校の間、このようにみっちりと計算練習を積んできている人間と、そうでない人間の間には相当な計算力の差が出てしまう。数学が苦手な人は特に意識して計算力を高める工夫をしなければならないし、量もたくさんこなさなければならないだろう。
読解力
数学は意外にも読解力が重要だ。何が問われているのか、どういう計算をすればいいのか、問題文から読み取る必要がある。
数学が苦手な人は、共通テスト試験の問題を読んで「何が問われているのか」把握するのも一苦労だろう。
これにはたくさんの問題に触れることはもちろん重要だ。他にも、以下の点がポイントになる。
- 数学用語や公式の意味を完璧に理解する
- 数式を日本語で考えることが出来る
- 問題文の条件を数式に変えることが出来る
たとえば「2つの異なる実数解を求めよ」と言われても、数学が苦手な人は何を言っているか分からなかったり、具体的なイメージが湧かなかったりする。
数学が出来る人は、グラフの概形が頭に浮かんでいて、x軸との交点の個数を求めればいいんだ、ということが容易にわかるはずだ。
分析力
問題を読み、何が問われているのか分析する力も重要だ。「ひらめき力」と言ってもいいかもしれないこの力は、共通テスト試験の数学ではあまり不要な力で、主に二次試験の数学で必要になるだろう。
記述力
二次試験で記述形式の問題が出る場合、記述力は必須だ。答えがただ合っているだけではだめで、わかりやすく論理的な解答を作成できるようにトレーニングしなければならない。
数学の勉強法の基本中の基本原則
普段の勉強習慣として身につけるべきこと
苦手な人がスムーズに数学に取り組むコツ
わからない問題はすぐ解答を見てそのあと練習する
数学が苦手な人がまず意識してほしいのは、「数学は考え込みすぎない」ということだ。
苦手な人が問題を分からない場合、それは単に「公式や解き方を知らないだけ」なことが多い。知らない問題をいくら考えても解けることはないし、何より時間がもったいない。
例えば私のように、ほとんど知識がゼロの人が新たに問題集を勉強していくときは以下のように勉強しよう。
- すぐに解説をみる。
- 理解しづらいときは解答を書きながら、図やグラフも書きながら手を動かして考える
- 解説を読んだ後、今度は自力で問題を解く
- スラスラ解けるようになるまで何度も練習する
- たとえば1~3の問題を解いたら1~3を一気に解く。4~6をやったら1~6を練習する。
数学で大切なのはとにかく自力で問題を解けるようにすること。これを絶対の目標とすべきだ。
問題を考えることも大切だし、解説を読むことはもちろん重要だが、それがゴールではないことを理解してほしい。最終的には自力でスラスラよどみなく解けるようにしないとテストでも入試でも通用しない。
特に基礎固めの段階だと、スムーズにサクサク進めていくことがポイントでもある。考え込んでばかりだとストレスが溜まって数学嫌いが加速してしまう。
解説は手を動かしながら理解する
解説をただ読むだけでは理解できないことがある。数学の解説を読み慣れてない人は、解説の文字列を読むだけで疲れてしまう。頭が働かないこともあるだろう。
そのため、解説を読むときは基本的に声を出して、手を動かしながら理解するようにしてほしい。
手を動かすことで頭も働くし、実際に解答を書きうつすことで、省略された計算過程が分かったり、なぜその公式を使うのかが分かったりする。
グラフや図がある場合は、必ずそれも書いて、わかっている数字を書き込んでいく。数学ではとにかく手を動かしながら考えることを鉄則としよう。
どうしてもわからない問題は翌日リトライ
問題を解いていると、どう頑張っても理解できないものにぶち当たることがある。そういう問題はいったん飛ばして、時間をおいてやり直すと普通に理解できることもある。
じっくり考え込むことも大切だが、時にはいったん飛ばして、後からもう一度考えるという事も大切だ。もちろんそれでも理解できないときは、分からない部分を先生に聞いたりすることも重要だ。
意識すると良い数学のコツ
数学用語や記号の意味を説明出来るようにする
数学が苦手な人は、とにかく数学で使う言葉や記号の理解があやふやなまま勉強している。用語や記号はいわば「数学の文法、語彙」であるので、これをしっかり覚えていないと、数学が理解できなくなってしまう。
数学が苦手な人はまさに「数学は宇宙語」と思ってしまうだろうが、それは数学の言葉をしっかり覚えていないからだ。そのため、1つ1つの言葉や記号、公式の意味をしっかりと理解しておこう。
数学を得意にして得点するために実践するべきこと
進学校の生徒が当たり前にやってること
制限時間内に全問正解できるようになるまで練習する
数学は、ただ解けるようになるだけではダメだ。実際の試験では制限時間があるため、素早く正確に解ける計算力を身につけなければ話にならない。
普段の勉強でも、以下の両者の間には果てしないほどの差が生まれてしまう。
- 素早く解けるようになるまで練習する人
- とりあえず解けるように練習するだけの人
当たり前のことを徹底することが、優秀な人とそうでない人の差になってくるのだ。
基本的な解法パターンは解き方も説明出来るようにしておく
因数分解や平方完成といった基本公式だけでなく、二次関数の最大値・最小値の求め方や、実数解の個数の求め方などをきちんと説明出来るようにしておこう。
- そもそも平方完成はなぜするのか?
- なぜ場合分けするのか?
- 判別式って何のためにあるのか?
- 和の法則、積の法則の違い、理屈
- 順列と組み合わせの使い分け
ただ公式を覚えるだけではなく、公式や解法の理屈をしっかりと理解しておかなければならない。
自分で勉強するときも「わかったフリ」に気をつけて、「なんでこういう手順で解くのか」「なんでここで公式を使うのか」といったことを説明出来るようにしておこう。
さらに飛躍するために意識するべきこと
応用問題は出来るだけ時間を使って考える
基本問題はすぐに解答を見ろ、といったが、実力がついて応用問題を解くときには、安直に解答を見ないようにしてほしい。
- すぐに解答をみる癖がつくと思考力がつかない
- 自分で試行錯誤して解答の指針をみつける練習が必要
このような理由から、応用問題にあたるときは、出来るだけ自分で手を動かして試行錯誤するべきだ。
もちろん1問に何十時間もかける必要はないだろうが、時には10分でも20分でも1時間でも考えてみることも必要になるだろう。
「なぜ?」をキーワードに納得するまでとことん考える
典型問題を暗記したけど、全然類題が解けないという人がいる。参考書の問題は解けるけど、模試になるとまったく点数が取れない。
解答をみると、「なんだ、あの解法を使えば良かったのか」となってしまうことはないだろうか。
解法暗記は十分にしたけど、問題がいつまで経っても解けるようにならない人は、一度立ち止まって自身の勉強法を振り返る必要がある。
- とりあえず解法パターンだけ暗記していなかったか?
- なぜこの公式を解くのかわかっているか?
- なぜこういう手順で問題を解くのか分かっているのか?
- なぜ場合分けをするのか分かっているか?
数文和訳、和文数訳が出来るようにしておく
数学が苦手な人は、数式の意味を理解することが出来ない。また、問題を見たときに、数式が浮かんでこない。そのため、共通テスト数学や入試問題を見たときに、さっぱり解答の方針を立てることが出来ない。
この「数学的翻訳力」を鍛える方法は以下の記事に詳しく書いてあるので参考にしておこう。
国公立・私立関係なく、記述型を基本とする
共通テスト試験の数学のみ受ける人や私立大学専願の人は、試験はマーク式のみなので共通テスト型の問題集のみで勉強する人がいる。しかし、計算だけして記述がまったくできないのも問題だ。
マーク式の問題集で勉強するにしろ、数式だけでなく日本語での解答もしっかり書く練習をしておこう。
数学好き and 得意な人が自然にやっていること
グラフや図は大きく丁寧に書く
- 二次関数や微分積分、三角関数といったグラフを書く問題
- 三角比や平面図形、ベクトルなどの図形を書く問題
いずれの場合でも、問題を解くときには図・グラフをていねいに書くべきだ。
数学が得意か苦手かは、この「図やグラフをていねいに書いているかどうか」でわかるものだ。理系の人や数学が得意な人はまず間違いなく図を正確に丁寧に書く習慣がついている。
逆に、数学が苦手な人は丁寧に図を書こうとしないし、でたらめな大きさ、辺の長さの図しか書くことが出来ない。ノートに図やグラフを書くときはなるべく丁寧に正確に書くように習慣づけよう。
代入と具体化を徹底する
『学習の作法』で解説されているが、わかった数字は図やグラフにきちんと書くのが代入。出来る人にとっては当たり前の「常識」だが、これも数学が苦手な人は出来ていないことが多い。
また、数学が得意な人は「1、2、3と具体的な数字を入れていく」ことが習慣化している。中学に上がって数学でこけた人は「aとかxとか具体的じゃない数字で考える」ことが出来ないことが原因の1つとして挙げられるだろう。
複雑な問題も、まずは具体的な数字を入れて考えると理解できることがある。
実際に数学を勉強するときの超具体的な手順
- 問題を解く。最低でも3~5分間は手を動かしながら考える
- 解説を読む。解説は疑問や捕捉を書き込みまくる
- 解答までの思考回路の手順を自分の言葉でまとめる
- もう一度問題を解く。今度は素早く解けるようにする
問題を解く。最低でも3~5分間は手を動かしながら考える
まずは問題を解こう。基本問題の場合はすぐに解答を見てもかまわない。ただし既習者はまず自力で解くようにしよう。
問題文を丁寧に読み、
- 何が問われているか?
- 似たような問題は見たことがないか?
- 場合分けが必要な問題ではないか?
- 図やグラフを正確に書く
- 問題文を数式に変える
- 条件を整理する
など、いろいろ手を動かしながら問題を考えてみる。たとえ分からない場合でも、「どこがどう分からなかったのか」をハッキリさせることが重要だ。
- 問題を解かずにいきなり解説を読む
- 問題を解き、わからない部分や疑問を持った状態で解説を読む
両者では圧倒的に後者の方が解説の理解度は高くなるはずだ。したがって、問題を解くときは「1.思考錯誤」と「2.分からない部分や疑問を発見する」ことを意識しておこう。
解説を読む。解説は疑問や捕捉を書き込みまくる
解答出来ても出来なくても解説はしっかり読もう。解けなかった場合は先ほどの「疑問点」に特に注意して解説を熟読する。その際、解説で分からない部分やモヤモヤする部分もあるだろう。
そういった引っかかりや疑問点は残さず解説に書き込んでおこう。「ここの式変形が分からない」「なぜここで場合分けするのか?」「ここは順列ではなくて組み合わせじゃないのか」といった疑問点を書き込んだり付箋にメモしておこう。
マーカーを引くだけでもいいが、マーカーだけだと、以前自分がどんな疑問を抱いたのか忘れることがある(私はよくこの失敗をした)。したがって、きちんと疑問点は言葉にしておこう。
解答までの思考回路の手順を自分の言葉でまとめる
一通り解説を読んで解き方を理解したら、もう一度問題を見て、解き方の手順を確認してみよう。ここで大切なのは「解答までのプロセスをしっかりと日本語にしてまとめること」だ。
チャート式などは手順がまとまっているわけではないので、自分でノートや付箋、カードに書いておくのも良い。
もう一度問題を解く。今度は素早く解けるようにする
初見で出来なかった問題は、解説を読んだ直後にもう一度解こう。直後に解けなければ、身に付いたとは言えないし、理解と記憶が不十分だということだ。
基本的にはその場その場で完璧に解けるようにしなければいけないことを肝に銘じよう。
私は数学を勉強するとき、「明日明後日と復習する中で徐々に出来ていけばいいかな」と勝手に考え、解説を読んで終わっていた。しかし完璧に習得しないまま翌日や翌々日に解きなおしても、初日の時とかかる時間は変わらない。これは非常に非効率だ。
そこを修正して、その日のうちに何度も解きなおしてきちんと自力で解けるように勉強することで、翌日以降の復習にも時間がかからなくなり、問題集を1つ1つ確実に身につけながら進めていくことが出来るようになった。
全ての科目で言えることだが、1つ1つ確実に身につけながら進めていかないと勉強は極端に非効率になる。
このことを忘れずに、解説を読んだ直後に「自力で素早く解けるようになるまで」反復練習をしていこう。
数学の勉強の全体像〜4つのステップ〜
ステップ①:正しい学習法を学ぶ
ここからは、具体的な勉強の手順を解説していく。あなたは以下に挙げていくことを1つずつ丁寧にやっていけばよい。
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- 正しい学習法を学ぶ
- 基礎学力をガチガチに固める
- 志望大学への武器をそろえる
- 過去問演習+苦手分野or頻出分野を徹底的に勉強する
まず1つ目は「正しい学習法を学ぶ」ということ。
ここまでの記事内容を読むと、数学ではいかに学習法が重要か理解していただけただろう。数学の正しいやり方が身に付いているかどうかが、そのまま合否につながるといっても過言ではない。
本記事を含め、以下の本を熟読してほしい。
- 学習の作法
- 数学の勉強法をはじめからていねいに
学習の作法
『学習の作法』は、進学校のや優秀な生徒の学習の「常識=作法」を解説した本だ。
- 秀才は全問正解できるまで勉強してはじめて「出来ました」というが、公立生は1度解いたら「出来ました」という
- 秀才は制限時間内で素早く全問正解できるようになるまでトレーニングする。手が筋肉痛になるくらい厳しい制限時間で訓練するのが日常
- 秀才は「分析」「代入」といった応用問題を解くために必要な作業を当たり前に行っている
「できる人」にとっては当たり前の学習法・意識を、「できない人」は身に付いていない。
この差が偏差値10とか20とか、それくらいの差になってしまう。
数学が苦手なあなたがまずすべきことはこの「学習の作法」を完璧に叩き込むこと。これが大前提となる。本書の数学の項目を熟読し、即実践していこう。
E判定からの大逆転勉強法
この本の良い所は「数学と言っても難しいコトはしなくて良いんだよ」と言う事が分かるところ。
難関大学に行くからといって青チャートや大学への数学、プラチカをやらなければいけないわけではないということが分かるだけでも、大学受験数学を攻略できる可能性がグンと引き上がると思う。
数学の勉強法をはじめからていねいに
『数学の勉強法をはじめからていねいに』は人気講師の志田先生が、「予備校で数学の勉強のやり方を講義する」風景を漫画にしたもの。
マンガなのでわかりやすい。意外にも内容は本格的で、実際に問題を交えながら数学の学習法を解説しているので、1A2Bを一通り勉強しないと完全に中身を理解することはできない。
ただパラパラと読むだけでもいいし、分かるところだけ読んでいけばいい。
本書で志田先生が挙げていることはしっかり実践してほしい。
ステップ②:基礎学力をガチガチに固める
基礎、というと人によって定義が様々だと思うが、私は「中学数学~共通テスト1A2Bで6割程度」と定義しておく。
最難関大学を志望する人なら、高2の共通テスト同日の時点で最低でも6割程度は取っていないと厳しくなってくる。
ここで具体的に行うべきことは以下の2つだ。
- 各分野の基礎事項を理解
- 公式の暗記・基本計算を制限時間内に完璧に解けるようにする
各分野の基礎事項を理解
数学の授業が理解できなかったり、『青チャート』などの参考書を使いこなせない人は、まずは基礎的なところからしっかり理解しなおそう。
使う参考書はマセマ出版の「初めから始める数学」シリーズだ。
このテキストは高校の授業に全然ついていけない人でも十分に使いこなせるくらい、易しく解説の詳しい参考書だ。
まずはこの本を丁寧に読み込んで、あるいはザーッと授業の予習として読んでおこう。
公式の証明などは理解できなければ初めはあまり時間をかけなくてもよい。
まずは基礎事項を確実に固めた後にもう一度読みなおせば理解しやすくなるはずだ。
本書を読みながら、教科書や傍用ドリル、基礎レベルの参考書を使って計算練習をしていく。もちろんマセマの問題を徹底的に反復する方法でも構わない。
ステップ③:志望大学への武器をそろえる:共通テスト8割突破目標
基本事項を固めることが出来れば、数学の勉強は気持ち的には半分以上終わったといっても良い。あとは教科書をベースに勉強してもいいし、予備校の授業を受けてもいいし、チャート式などで勉強しても良い。
原則を守って勉強できるなら、どういった手段をとってもいいのだ。
教科書をベースに進める
教科書を軸に進められる人は、教科書と傍用問題集を中心にきちんと勉強するのがベターだろう。
教科書ガイドを使えば、教科書学習をスムーズに進めることが出来る。
定期テストでは高得点を狙って、毎日の復習をきちんと行うこと。
テスト期間中はテスト範囲を全て「解法を説明して」「スラスラと素早く解けるように」なるまで反復練習を繰り返そう。
傍用問題集としては『4STEP』などもあるが、問題量が多すぎたり解説が詳しくないといったデメリットもある。
使いづらいと感じる人はまずは教科書を中心に勉強し、それに加えて勉強したいときは次に挙げる「核とすべきテキスト」をやっていけばよいだろう。
共通テストチャートで一石二鳥の勉強を行う
共通テスト試験が必須の国公立大学を志望する人、偏差値65以下の「共通テスト重視」の大学を受験する人が、まず考えなければいけないのは共通テストで高得点を取ることだ。
そこで、一般的に人気の『青チャート』などではなく『チャート式共通テスト数学』を使うことをおすすめする。教科書プラスαの勉強を行うことで、教科書の章末問題レベルの解法を覚えつつ、共通テスト対策も同時に進めることが出来る。
とはいえ、二次で数学がある人は、空欄を埋めるだけではなく、しっかりとした「記述による解答」を出来るようにしておこう。センチャを習得すれば、「1Aで8割、2Bで6割~7割」程度の実力をつけることが出来る。
高2の間でセンチャを固められれば、共通テスト7割~8割程度が目標の人はかなりのアドバンテージを握ることが出来るはずだ。
共通テスト過去問、共通テスト対策問題集で共通テスト8割以上を目指す
共通テスト対策としてはやはり共通テスト過去問を主体とした方がよいだろう。
共通テスト対策の問題集としては駿台出版の『短期攻略共通テスト数学実践編』などがある。
ステップ④:過去問演習+苦手分野or頻出分野を徹底的に勉強する
共通テストチャートや共通テスト過去問を一通り完成させたら、志望大学の過去問も勉強してみよう。
※実際は、各分野が終わった後に過去問を解いてみても良い。例えば「青チャートの2次関数」を全て勉強し終えたら、自分の志望大学の二次試験の2次関数の問題を解いてみる。
1つ1つの分野を勉強しながら「志望大学のレベルまで一気に完成させる」という風に進めていけば、実力がついたことも実感できるし、確実に実力をつけることを確認しながら攻略することが出来る。
過去問を解いたら、自分の苦手な分野が出てくると思う。まずはそこをメインテキストで復習しよう。
必要性を感じたら、分野別の問題集をやるのもいい。
「青チャの後に一対一」という流れが一般化しているが、問題集をとりあえず全分野勉強するよりも、苦手分野や頻出分野をピンポイントで強化した方が効率的に得点できるようになるはずだ。
共通テスト数学の対策と勉強法のポイント
国公立志望者や理系の人にとって、共通テスト試験数学1A2Bで高得点を取ることは合格に必要不可欠と言っても良い。しかし、共通テスト数学を不得意にしている人は(2次が出来る人でも)とても多いように思われる。なぜか?
それは多くの受験生が「共通テスト数学の特性」を理解せずに勉強しているから。今回は共通テスト試験数学1A2Bで9割そして満点を叩き出すために必要な勉強法を余すこと無く解説する。
共通テスト数学8〜9割の勉強の流れ
ここでは、最低限の基礎力はあるけれど、共通テスト過去問やマーク模試となると点が取れない人のための勉強法を紹介する。
勉強の状況・環境は様々だろうが、本来やるべきことはみなさん同じのハズ。一般的には青チャートやその他問題集を1、2冊程度こなしてから過去問に移るべきとされているが、この段階の人が本当にやるべきことは実はたった2つ。
- 基礎知識と共通テストで必要な公式・解法パターンをインプット
- 共通テスト過去問で演習
- マーク模試問題集で演習
共通テスト数学の難易度や注意点について
共通テスト試験は決して「簡単」ではない!
- 「二次試験の勉強をしていれば共通テスト試験は対応できる」
- 「冬ごろから共通テスト過去問をやり始めればなんとかなる」
- 「共通テスト数学はそこまで難しくはないからまあ大丈夫」
このようなことをみなさんどこかで聞いたことがあるかと思うが、この考えはとても危険だ。共通テスト試験全般に言えることだが、共通テスト試験は基本的に「難しい」テストだ。
正確に言うと、共通テスト試験は「学力が高い人でも高得点が極めて点を取りにくい」テスト。だからこそ、毎年多くの人が共通テスト試験の失敗が原因で第一志望の学校を諦める(または浪人してもう一年勉強する)ことになってしまう。
まずは共通テスト試験はとても厳しい試験であることを「強く」認識することが第一歩となる。ここを認識した上で具体的な勉強法について紹介する。
共通テスト8割取れるまでは絶対に初めに使ってはいけない参考書・問題集とは?
市販の参考書の中には「人気だが実際は非効率な本」がたくさんある。それはムダにレベルが高い参考書や分厚くて沢山の問題が収録されている問題集だ。以下で列挙してみよう。
- チャート式解法と演習数学(通称黄色チャート)
- 新課程チャート式基礎からの数学(通称青チャート)
- チャート式数学(通称赤チャート)
- 1対1対応の演習 新訂版 (大学への数学 1対1シリーズ)
通称「青チャ」や「1対1」は特に難関大学志望の受験生に人気の参考書だ。しかしおそらく9割以上の使用者がこれらの参考書を上手く使いこなせていない。実際、共通テスト数学で8割以上得点できる受験生は全受験生の中でも2割もいないのだ。
これらのハイレベルな参考書を背伸びしたりカッコつけて勉強してしまうと痛い目を見る。まずはハイレベル問題集ではなく基礎的で共通テストレベルの問題集を「カンペキに」こなせるようになったほうがはるかに効率良く点数を伸ばせるし、結果的に合格率も跳ね上がるはずだ。
もしチャート式を使うなら『新課程チャート式基礎と演習数学1+A(通称白チャート)』くらいのレベルがちょうど良いだろう。この問題集を一冊マスターするだけでも共通テスト試験・易しい国公立大学までは相当対応できる。
なぜ黄チャート・青チャートで勉強するのがマズイのか?
「青・黄チャートなどの網羅的な参考書をしっかりこなしていれば、二次試験を含め共通テスト試験にも対応できる」といった内容のことをいろいろな場所で耳にすると思う。こうした意見・勉強法は基本的に「間違ってはいない」。
実際、青・黃チャートなどの網羅系参考書を「完璧に」マスターし、その上で二次対策もやりつつ冬から共通テスト過去問に必死に取り組めば共通テスト数学は十分9割以上取れると思う。
しかし、毎年多くの受験生が共通テスト数学で十分な点が取れていない。それはなぜか?
チャートなどの網羅系参考書を「完璧に」マスターする…。この「完璧に」マスターするということの、大変さ・すさまじさをほとんどの受験生が認識していないから。もっと率直に言えば、チャートを「完璧に」マスターしている受験生はほとんど存在していないのだ。
「完璧に」マスターするというのは言い換えれば、「そこにある全ての問題を一切の迷い・ストレスなく解くことができる」状態になるということだ。
この状態にまで達するには莫大な勉強量・勉強時間が必要であって、中学からチャートを使い出すような超進学校でない限り、一般的な受験生にはムリのある勉強法なのである。
あまりにも問題数が多いチャート式で、しかも実際には共通テスト試験や二次試験でも出ない問題が散見される問題集でやるほどの余裕は大学受験生にはハッキリ言って無い。
では、現実的でかつ実効力のある勉強法はどのようなものなのだろうか?
超具体的で実践的な数学の勉強法の手順
効率的な共通テスト数学勉強法とは?
最低限のベースが出来ている受験生がやるべきことは2つ。それは、
- 「共通テスト過去問」の演習
- 「マーク模試過去問」の演習
この2つだ。基本的にこれら過去問はほかのどのような問題集・参考書よりも優れた最高の教材なのである。これらの演習をこなすことで実効的かつ実戦的な実力を最短距離で身に付けることができる。
マーク模試の過去問は河合、駿台、東進、Z会などから販売されている分だけでも相当な分量があるし、当然ここに共通テスト過去問も加わるので、分量としてはかなりの量を確保できる。
チャート等に費やす膨大な時間を、ぜひともこれらの演習に投資していこう。チャート等に多大な時間を費やしている一般的な受験生と比較して大きなアドバンテージを得ることが出来る。
順番としては、河合、東進、駿台、Z会の順にやるといいと思うが、どこから始めても問題はない。そして日をおいて2度3度満点が取れるまで繰り返し取り組んでいこう。それだけで得点力・実戦力が段違いに上がるハズだ。
共通テスト対策と二次対策はまったく別物?
チャート等の網羅系参考書をこなさなければ、二次試験に対応できないと思われる方もいらっしゃると思いますが、これは大きな誤解だ。
そもそも、これらのマーク模試は国公立大学の二次試験の過去問を参考に製作しているので、マーク模試の演習は実は二次試験の対策の一部としても効果があるのだ。
二次の勉強がマークにつながるのではなく、マークの勉強が二次試験につながるのが実態なのである。
さらにチャート等に費やすはずであった時間を二次対策にもまわすことができるので、二次試験対策といった観点からもこの勉強法は有効である。
共通テスト過去問の演習に入る前に
共通テスト過去問をやるといっても、数学嫌い、知識ゼロの状態でいきなり過去問をやろうとしても苦しいハズ。そんな人には共通テスト数学の必須解法パターンを詳しく解説した参考書を使うことをおすすめする。
共通テスト数学もあやふやな初心者にオススメの本
もっと基本的な計算練習をしたい人は「ドラゴン桜式 数学力ドリル」を勉強するといいだろう。この問題集はとにかく薄くて本当に必要な計算のみを収録しているのが最大の特徴。難しい問題は一切載せず基礎力養成にだけ集中できるので、非常に効率的に基礎計算力を付けることが出来るのでオススメだ。
偏差値30から始めるオススメ参考書カリキュラム
- ドラゴン桜式 数学力ドリル※1
- 元気が出る数学
- 共通テスト攻略 山本俊郎の数学エッセンシャル※2
- 共通テスト試験過去問数学
- マーク模試問題集(河合、東進)
※1(本当にゼロの人は『荻島の数学I・Aが初歩からしっかり身につく 「数と式+2次関数」』『初めから始める数学』シリーズを読んでおく)1のステップでは普段から教科書や傍用問題集を反復している人なら特にやる必要は無い。
※22のステップでは『チャート式共通テスト数学(やや解説に難あり)』や『快速!共通テスト数学』など似たジャンルの問題集でも構わない。また『元気が出る数学』でも良いだろう。
3の共通テスト過去問では赤本や黒本なんでも良い。ただ旧課程の問題には気をつけよう。
4のマーク模試問題集は河合の『マーク式総合問題集英語 2019 (河合塾シリーズ)』や東進の『2019 共通テスト試験本番レベル模試 数学I・A (東進ブックス 共通テスト試験本番レベル模試)』を使おう。
駿台やZ会のものでもいいが、少しレベルが高いので、まずは河合と東進の2冊を優先的に取り組もう。
まとめ
この記事を読んだみなさんは、最低限の基礎力を固めたら、すぐにでも共通テスト・マーク模試の演習に入っていこう。
それだけで大きなアドバンテージを得る事が出来るし、また実際の模試での得点に直結するので偏差値や自信・モチベーションにも良い影響があるハズだ。あらゆる点から考えて、この勉強法がベストであると思う。
みなさんが不毛な時間を費やすことなく、最短距離で確実な合格を手にすることを願っている。
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