模擬試験を受けるのは大学受験生にとっては常識だ。しかし、模試を最大限に活用できている受験生は、いったい何人いるだろうか。

  • 模試を受けっぱなしで復習しない人
  • E判定という結果に落ち込み、志望大学をすぐに変える人
  • 模試の判定が良くて油断し勉強しなくなる人

これらの特徴に当てはまる人は危険だし、そもそも模試を受ける意義・目的を全く分かっていない。

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模擬試験は正しい意識の元で受験し、正しく復習することで最大の効果を発揮する。3000円~5000円も払って受験するのだから、きちんと元を取らないともったいない。

大学模試を正しく活用する方法を知って、99%の受験生に差をつけよう。 もしあなたが試験当日にこの記事を読んでいるなら「実戦編:模試当日での模擬試験の解き方」を先に読んでおこう。 5月、8月、10月などの時期別のおおよその模試の目標得点を知りたい人は「高2の3月、高3の5月8月10月の模試の目標得点と進捗目安」をチェックしておこう。

模試を受験する6つの意味

大前提として、模擬試験は本番で合格点を取るために受けるという目的を忘れてはいけない。したがって模試で高得点を取るための対策を講じたり、模試の結果に一喜一憂するのは見当違いであることを知ってほしい。 それを踏まえて、以下の6つの目的を見てみよう。

  1. 試験の形式に慣れる
  2. 試験会場の雰囲気に慣れる
  3. 勉強したことをきちんとアウトプットできるかを確認する【重要!】
  4. 自分の弱点を知り、その後の勉強に生かす【最重要!】
  5. 問題集として活用する
  6. ペースメーカー(短期目標)にする

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試験の形式に慣れる

共通テスト型のマーク模試を受験する場合は「慣れ」の効果は非常に高い。緊張感のある中で厳密な制限時間のもと、問題を解くことで試験本番の問題形式に慣れることができる。

特に「○○大模試」などの大学名を冠している大学模試は積極的に受けた方が良い。 大学別の模試は「学生walker大学別 模試一覧」で一目で探すことができる。大学別模試がある大学を受験する人はなるべく全て受験した方がいいだろう。

試験会場の雰囲気に慣れる

試験本番に弱い人や想定外の状況への対応力がない人は、模試をきちんと受験して試験会場の雰囲気に慣れる必要がある。 たとえば試験本番で「隣にやたら貧乏ゆすりをしたりガサゴソと音を立てる受験生がいて集中できなかった」という受験生がいる。

これはただの言い訳と言わざるを得ない。 そういう人間もいることをはじめから想定して、普段の勉強から周りの雑音が入らず問題を解けるようにしておくべきだ。例えばあえて少し騒がしい喫茶店などで勉強をするなどしておくことも人によっては有効だ。

また、よほどひどい受験生がいる場合は試験官に申し出るなどした方が良い。こういったアクシデントは普段の練習(模試)で実践しておかないと、本番であわてることになる。  

勉強したことをきちんとアウトプットできるかを確認する【重要!】

模試になると「あれ、なんだっけなー」というように、自分の知識の不確かさに気付くことができる。本番の雰囲気の中で問題を解くことは、普段自分がする演習以上に「気づき」が多い。

あいまいな知識だったものはきちんと覚えることが重要だ。そして曖昧な状態で問題を解くことが多かった人は、普段の勉強を見直す必要がある。

具体的には復習不足が考えられる。一つ一つの知識をきちんと復習しながら覚えていくような勉強に変えていく必要があるかもしれない。 また、普段からアウトプットを意識していない受験生は、模試で得点できないはずだ

受験勉強は本番で合格点を取ることが目標だ。 模試で得点することが最終目標ではないが、模試は普段よりちょっと緊張感のある「問題演習=アウトプット」だ。模試できちんとアウトプット出来ているかどうかは、普段のあなたの勉強法を映し出す指標になる。  

自分の弱点を知り、次の模試までの勉強方針を立てる【最重要!】

私が最も重要視したいのは、自分の弱点を知り今後の勉強計画を立てたり、勉強法を修正したりするということだ。これが出来ていない受験生があまりに多すぎる。

単に「今回は英語が出来た、国語はダメだった」という程度の低い分析しか出来ない人は多い。それでは全く意味がないと言っても良い。 模擬試験はいわば健康診断のようなものだ。

自分の悪い部分をあぶりだすことができる。「このままでは危ないですよ(合格が)」と言われたら、あなたはどうするだろうか。「じゃあもっと頑張ります」ではいけない。具体的に何をどのように勉強するのかまで考えて今後の勉強に生かす必要があるのだ。  

問題集として活用する

模擬試験は本番レベルの問題集としても優秀だ。一度解いた模試はそのままにせず、定期的に復習しなければならない。模擬試験は赤本などよりも解説が詳しいので、きちんと復習することで高い学習効果を発揮する。

特に理科社会は全て完璧に覚えるつもりで復習するとよい。 以上の4つを模試受験の目的として挙げた。以下の2サイトでも、模試を受ける目的を端的にわかりやすくまとめて下さっているので、ここでご紹介しておく。

 後者のページでは、私立大学受験者と国公立大学受験者のそれぞれ受けるべき模試も書いてあるので、ぜひチェックしておこう。  

ペースメーカー(短期目標)にする

試験本番と言っても、1年後の受験に向けて高い緊張感を持って勉強するのは、実際には難しい。しかし1か月後に模試を受験するとなると、日程が近いために高いモチベーションをもって勉強することができる。

逆に、模試を受験しないとなると、手近な目標がないためにモチベーションを維持しづらい。模擬試験はペースメーカーとしても活用するのだということを覚えておこう。

  • 模試はペースメーカーになる。そのため受験生なら2,3か月に一度は模試を必ず受験しよう

正しい模試の判定の捉え方・考え方

模試の判定に一喜一憂する受験生がいるが、それは間違った捉え方だ。模試は判定を見るものではない。受験生のあなたが気にするべきポイントは「勉強した箇所で得点できたか」「普段の勉強で気を付けるべきことはなにか」などだ。

しかし、受験生は概して判定や偏差値だけを気にしてしまう。模試の判定が良かったら油断し、判定が悪かったら簡単に志望大学をあきらめる受験生がいる。そうなる前にここを読んでほしい。  

模試は親を安心させるもの。自分が安心してはダメ

私は以下のように提唱したい。模試の判定は「親を安心させる」ものであって、自分が安心してはいけないまた、模試の判定が悪いからといって、やたらと落ち込む必要もない

模試はしょせん練習試合だ。あなたは練習試合でたまたま勝ったからといって、じゃあインターハイや甲子園本番でも余裕だね!と思うだろうか。 そもそも、私立受験者の場合、共通テスト模試は問題形式が全く違うため、実力を測ろうとするのが無茶なのだ。

共通テスト形式の問題はある程度の指標にはなるが、共通テストで9割取れたからといって、早慶に受かるとは限らない。 仮に大学別模試でA判定を取ったとしても油断して不合格になる人間はたくさんいる。

早稲田大学教育学部に浪人して合格したAYさんの模試偏差値推移」を見てほしいが、記述模試で早慶上智オールA判定を出しても落ちる人はいるのだ。私の知り合いでは、早慶模試で1位や2位を取っても落ちた人がいた。 模試は親を安心させるものであって、自分が判定に振り回されてはいけないことを肝に銘じよう。

もしあなたの親が、あなたの合格に懐疑的だったり受験に協力的でない場合は、A判定という結果をたたき出して親を安心させよう(黙らせよう)。  

判定が悪くても気にすることはないが反省と分析は徹底的にすべし

前述の「A判定でも受かる」のと同じように、E判定D判定でも合格することは普通にある。私自身、早稲田でC判定以上を取ったことがない。早慶模試では普通にE判定だった。

しかし私は志望大学の過去問の得点を重視していたため、模試の判定は全然気にしていなかった。志望大学の赤本では十分に得点出来ていたため、模試の偏差値や判定は気にせずに勉強をしていた。

模試の得点ではなく過去問の得点を重視すべきだ。そして、模試の判定は気にするなとは言ったが「1.4.自分の弱点を知り、次の模試までの勉強方針を立てる【最重要!】」で述べたように、弱点分析や今後の課題をリストアップしなければならない。  

でも、結局は模試の判定通りの結果になることが多い

模試の結果はケースバイケース、人によって受け止め方は違ってもいいが、結局A判定の人が受かりやすく、E判定の人はほとんど受からないことには違いない。 E判定・D判定を取り続けた人は高確率で落ちる。

A判定でも落ちるのだ。E判定の人が受かることはほとんどないと思った方が良い。 例えば浪人生。5月頃に最初の模試があるだろう。ここでA判定を取るくらいの実力がなければ、合格は難しいと思って欲しい

現役生の実力がない時期でA判定すら取れないのならば、勉強法を根本から見直すか、志望校再考の必要があるだろう。 ただ、マーク模試は私立大の判定を正しく判定することはできないので、私立大学受験者は模試の判定を一切無視し、過去問の得点率を重視すべきだ。マーク模試の場合、共通テストで9割取ってもA判定を取れないこともある。

模試の判定だって悪いより良い方がいいに決まっている。どうせなら良い判定を取れるように頑張ろう(あくまで過去問重視なのは忘れずに)

 

親御さん必見!模試のシステムもわからないまま子どもを評価してはいけない

受験生をお子さんに持つ親御さんに、模試のシステムを簡単に解説したいと思います。模擬試験は大きく分けて以下の3つがあります。

  • 共通テスト型のマーク模試
  • 国公立二次試験を意識した記述模試
  • 東大模試・早大模試などの有名大学専用の模試

例えば、保護者の皆様のお子さんが早慶を目指している私立大学専願受験生だとします。この場合、マーク模試や記述模試の偏差値、判定は合否にあまり関係がありません

共通テストや記述模試と、早稲田や慶応など私立大学の入試問題は問題の形式が全く違うからです。 したがって、仮にお子さんの模試の偏差値があまり良くなくても、そこで「ダメだな」と安易に評価せずに信じてほしいと思います。

この記事で解説してきたように、模試はしょせん模試です。大事なのは志望大学の赤本(過去問)の得点です。 ですから、お子さんに過去問を解かせて、その結果を見てみましょう。

大学の過去問を絶対の基準とした方が良いですそして過去問での得点が低いならば、残念ながら合格可能性は低いと言わざるを得ません。 それは親御さんよりも受験生本人の方が痛感するはずですから、受験期の後半なら志望大学の変更を検討に入れるべきかもしれません。

もしお子さんが模試の判定に一喜一憂するだけの状態なら、ぜひこの記事をご紹介ください。また、模試の得点だけでなく、過去問の得点も見せてもらってから、子供の学習状況を把握するようにしてください。

仮にお子さんが志望大学の過去問や共通テストを一度も解いたことがないようなら大問題です。「知らないと100%落ちる赤本・過去問の使い方―解く意味、順番、時期―」を読ませて、今すぐに過去問を解かせるようにしてください。

しかし、結局は判定通りの結果になることがほとんどのようです。A判定で落ちることは多くても、E判定で受かるのはほんの一部のように感じます。それくらい厳しく考えてもいいと思います。

僭越ながら、模試の簡単な説明とお子さんへの対応方法のアドバイスをさせていただきました。  

私立大学志望の受けるべき模試と判定の捉え方

早慶をはじめとする私立大学を受験する人は、基本的に河合の全統マーク模試と大学別模試を受験するだけで良い

記述模試や他の予備校の模試は無理して受けなくても良い。 模試を受け過ぎても復習できなくなったり、下手に模試慣れして緊張感がなくなったり疲れたりしてしまうからだ。 模試の判定の捉え方は以下の通りだ。

  • マーク模試…全くあてにならないと思ってよい
  • 記述模試…あまり参考にならない
  • 大学別模試…割と参考になる
  • 過去問の得点…もっとも参考になる

マーク模試や記述模試の偏差値や判定は、私立大学専願者にとって全く意味がないと言わざるを得ない。何度も繰り返しているように、模試と過去問の問題形式が違い過ぎるからだ。

もちろん、マーク模試でも記述模試でも偏差値70を取れる人は、志望大学の入試問題でもかなりの得点を取ることができるかもしれない。しかしあくまで「かもしれない」だ。

実際は模試では高得点を取れるのに、過去問ではボロボロの人もいる。過去問に合わせた勉強をしていないためだ。 こういう人はある意味一番危険だと言える。「模試で判定が良かったからきっと大丈夫」と言って、過去問演習を軽視してしまうと、受かる可能性がガクンと落ちてしまう。

大学別模試も、実際に自分が受ける学部と全然問題形式が違うことがある。 やはり、最も重視すべきは過去問での得点率だ。模試の結果が良くても悪くても、過去問で得点できなければ意味がない。受験生のあなたは過去問至上主義を取り、模試の判定は気にしないようにしよう。

  • 私立志望者はマーク模試と大学別模試を受験。一番重視すべきは過去問の得点。

 

失敗する受験生の模試の姿勢パターン

ここでは、高確率で不合格になる受験生のパターンを紹介する。

実力がついてから…といって模試を受けない

ハッキリ言って論外だ

こういう人はいつまでたっても実力はつかない。実力がないうちからでもいいから模試を受験しよう。 正直に申し上げて、実力がないうちに模試を解いてもわからないことだらけだろうが、それでも良い。

とにかくぶち当たってみるという精神が重要なのだ。低成績を取ることを恐れてはいけない。なぜなら模試はしょせん模試だからだ。 もう一度模試を受験する目的を見直してみてほしい。

模試で高得点を取らなければいけないルールはどこにもない(もちろんなるべく好成績を取れた方がよい)。そもそも「実力がついてから…」という人は模試を受験する意義や目的をきちんと認識できていないのだ。

1.6. ペースメーカー(短期目標)にする」でも述べたように、模試を目標とすることでメリハリのある学習が出来る。つべこべ言わずにまずは模試を受験してみることが大切だ。

  • 模試は受験勉強を始めたらすぐに受験しよう。

 

模試だからと言ってテキトーに受験する

「しょせん模試は模試」とは言っているが、受験本番のために受けるのだから、模試は毎回本気で受験するべきだ

練習で本気になれない人間が、本番で本気を出せるわけがない。 模試は試験本番だと思って、体調管理や食事管理、試験会場での集中力の保ち方を意識しよう。周りの友人などに流されるのではなく、自分なりのリラックス方法を見つけて実践すること(もちろん友人としゃべるのも人によっては有効だ)。  

模試受験後に分析ではなくやたら言い訳をする

模試や試験本番の得点は全て実力だ。体調とか会場の雰囲気、隣の席に誰が座っているかなどは関係ない。

  • 体調が悪かった→体調管理も受験勉強です。体調を崩すのはハッキリ言って受験生失格。うがい手洗いなど、当たり前のことを徹底しましょう。
  • やたら会場が熱かったor寒かった→体温調節が出来るように対策をすべきです。
  • 前or隣の席の受験生がやたらうるさかった→集中力が足りない。周りがどんな状況でも試験に没頭できるように普段から対策をすべきです。

普段、図書館など静かな環境だけでしか勉強していない真面目な生徒はイレギュラーな事態に対応することができない傾向がある。例えばファーストフード店や喫茶店など、少々騒がしいくらいの環境で問題を解くなどしてみてもいいだろう。  

実戦編:模試当日での模擬試験の解き方

あなたは、模試を受けるときの自分なりのルールやセオリーを持っているだろうか。例えば問題を解く順番や時間配分はあらかじめ決めて受験するべきだ。 試験本番でも応用できる「入試問題の解き方」と「復習するときのための一工夫」を解説していく。  

試験が始まったら全てのページを確認せよ

これは試験本番でも実践してほしいことだが、問題が配られて「試験開始!」となったら、いきなり問題を解くのではなく、すべてのページをめくって確認しよう。 これには2つの目的が考えられる。

  1. 傾向が変わっている問題がないか確認(模試の場合はほぼない)
  2. 問題の解き忘れを防ぐため

傾向が変わっていないか確認することは本番では必須の作業だ。

模試ではほぼないだろうが、共通テストなど、問題の傾向が変わることがある。 2014年度の共通テスト英語も若干傾向が変わったが、私の受験した2010年度の共通テスト英語は第5問が大きく形式が変化した。
最初に問題を確認せず、順番に第1問から解いていった人は、第5問に差し掛かった時に「ええっ?!形式違うじゃん!聞いてないよ!」と焦ったかもしれない。
特にこれが第6問など後半の問題だと、残り時間が短いまま解くことになる。 私はあらかじめ全ての問題を見ていたので、「傾向が変わっているっぽいから、第5問は後回しにして、少し時間に余裕が出るように他の問題を解こう」と決めてから問題を解いた。

また、たまに聞くのが「問題の最後のページに気付かずに飛ばしてしまった」というものだ。模試や共通テストの問題冊子は、最後の1問だけ存在に気付かずに解き忘れることがある。 問題を解き忘れるということが絶対にないように、初めに全ての問題に目を通し「ここまで問題があるよ」とわかるようにページの端を折っておくとよいだろう

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  • 傾向変化がないか確認するためすべてのページに目を通そう
  • 問題の解き忘れを防ぐために、最後のページの端を折って目印にしよう

 

答えや記号は隅っこに書こう

マーク模試の場合、「1、2、3、4」の番号部分に○をつけておく人が大半だろう。もちろんこの解き方でもいいのだが、いざ「模試を復習しよう!」というときに、以前答えた痕跡が残っていては不便だ。

消してもうっすらと筆跡が残っていたり、そもそも消すのが面倒だったりする。 そのため、答えは各ページの隅っこに書いておくと良い。例えば共通テスト英語の場合なら「①④④①②」というような番号だけ書いておく。

国語や社会も基本的にこの方法でいいだろう。数学は空欄に直接数字を書いていた方が問題を解きやすいかもしれないので例外としておく。

  • 答えを隅っこに書いておけば、あとでもう一度本番を意識して問題を解く時に面倒がない。

 

マークは大問ごとかページごとにまとめて行おう

あなたが1問ごとにマーク用紙へ答えを書いていたとしたら、少し方法を変えてみることで大きく時間短縮が出来る。手順は以下の通りだ。 共通テスト英語(2014年度)の場合。 第1問 解答番号:1~7 第2問 解答番号:8~26 第3問 解答番号:27~34…

  1. 第1問をすべて解いてページの端っこに答えを書き終えたら、マーク要旨に1~7までの答えを一気に塗りつぶす。
  2. 第2問を全て解いたら8~26を一気に塗りつぶす。
  3. 第3問を全て解いたら…(以下繰り返し)

もちろん大問ごとでもいいし、ページごとでも良い。一個一個書くよりも時間短縮になる。  

解く順番をあらかじめ決めておく

共通テストの英語や国語、数学は制限時間が厳しいため、解く順番が非常に重要だ。解く順番は人それぞれでいいのだが、基本的方針を挙げておく。

  • 配点が大きい問題から解く
  • 確実に解けるものから解く
  • 得意分野から解く
  • 集中力が高い時間帯に長文などを解く

例えば共通テスト英語なら、第3問から第6問までの長文が配点が高いので、当然ここにたっぷり時間を使いたい。基本的には配点が大きい問題から解くのがいいだろう。

逆に、一番最初は試験の緊張感をほぐすために配点が小さく確実に解ける知識問題から解くのもアリだ。共通テスト英語なら第1問の発音問題をウォーミングアップがてら解く。

そのあと第6問に飛ぶなどしても良いだろう。 共通テスト国語なら、最も高得点が取りやすい漢文から解くのがセオリーになっている。現代文が得意なら現代文から解けばいい。

自分の得意科目から解くのも有効なメソッドだ。 共通テスト英語や国語は80分と制限時間が他科目と比べると長い。後半になってくると集中力が落ちてしまうかもしれない。集中力が落ちる時間帯に共通テスト英語第6問のような長文問題を解くとミスが増えてしまうこともある。 その場合は、第6問→第5問→第4問というように後ろから解いていけばいい。

疲れて集中力が低下している時でも、知識問題であれば問題なく解けるだろう。ただしケアレスミスには気を付けよう。 解く順番には絶対的なものはない。自分にあった順番を見つけて、本番でも原則、あらかじめ決めておいた順番通りに解くとよい。  

時間配分をあらかじめ決めておく

解く順番と同様、時間配分を決めておくことも重要だ。

自信の度合いによって問題に○△×をつける

問題を解く時、自分の自信の度合いによって以下のマークを問題横につけておこう。

  • ○:自信を持って解けた問題
  • △:自信はないが、一応これかな、と言える問題
  • ×:全然わからない問題

これは復習をする時を考えた工夫で、本番ではもちろん必要ない。模試を復習するときは、○を付けて間違えた問題と、△をつけた問題を正解or不正解関わらず復習するのだ

×をつけた問題は、解説を読んでも理解できないかもしれないし、そもそもまだ習っていないかもしれない。したがって、問題を解く時には時間をかけず、復習の際にも時間をかけなくてよい。しばらく勉強を進めてからもう一度解いてみると良い。  

模試は受けた後が一番大事!模試の反省・復習法

模擬試験は1日中あって疲れるものだ。だからたいていの受験生は模試が終わった解放感からその日、次の日を勉強オフにしてしまうことがあるが、模試はその日から翌日のうちに復習するべきだ。時間が経つと、模試を受けた時の感想や手応えなどを忘れてしまうからだ。

得点の見方の原則:全体得点ではなく分野別で考える

たとえばマーク式の英語で140点と言っても、「文法は満点だけど長文でミスが多い」場合もあるし、「文法はボロボロでも長文ではなかなか得点できた」場合もある。

英語なら6つの大問別に、数学なら1~4の大問別、国語は評論、小説、古文、漢文というように大問別で考えるようにしよう。 非常に当たり前の話なのだが、「共通テスト英語140点なんですが何をすればいいですか?」という情報だけで質問をしてくる受験生が非常に多いのだ。

あなたがどの大問で失点しているのか。つまりあなたの弱点がどこかがわからないとアドバイスのしようがない。 自分がどの大問が弱いのかをまずはしっかり認識することが重要だ。

6割以下の科目の復習はしなくてもいい?!その意味とは

共通テスト型の問題で6割も得点できないのは、圧倒的に基礎力が不足しているからだ。覚えるべき基礎事項が多すぎる状態のはず。そんな人は解説を読むよりもやるべきことがあるはず。テキストを使っての基礎固めだ。

あくまで個人的だが、マーク模試で6割も取れない科目の解説を必死に読むのは効率が悪いと考えている。もちろん解説を読むのが無駄と言っているわけではない。

しかし、あなたは模試の解説を何度も何度も徹底的に見直し全て完璧に習得できるだろうか?模試は普段の勉強法に作られてはいない。基礎事項を習得するなら模試よりも教科書、参考書の方が良いだろう。 例

えば共通テスト数学1Aで40点の人。こういった人は基本計算、解法パターンからボロボロのはずだ。解説を見ても知らないことが多いかもしれない。真面目な人だと、理解できない解説を5時間、6時間と粘って粘って読んでいることがあるが、普通に参考書で勉強した方が良いだろう。

5時間もあれば『チャート式共通テスト数学』などで1分野を一通り勉強することができる。解説をただ読むのに数時間費やすのと、実際に勉強をするのとでは、どちらが良いかは考えるまでもない。

また、英語で6割以下だと、まず語彙力の不足があるし、解釈力もまだまだだろう。そのような英語力の人は、そもそも自分がなぜ失点したか分析することが難しい。穴が多すぎて、単語で失点しているのか解釈で失点しているのか、候補がありすぎて意味不明になってしまう。 こういった場合も、普通に単語帳を覚えて解釈の勉強をした方がいい。

もちろん以下で挙げていく【勉強した範囲で出来た所・できなかった所の確認】【勉強法の修正点】【今後の勉強計画の立案】はしっかり行うべきだ。

模試ノートに書くべきことor模試の得点報告、相談の際の文章テンプレート

得点分析後、模試の反省ノートを書いて欲しいので以下にテンプレートを用意した。

以下に従って各科目の反省や勉強法の修正点、今後の方針を考えよう。 また、先生や誰かに模試の得点を相談する時も、基本的には以下のテンプレートに沿って報告しなければならない。総合点だけ教えて相談するのは論外。相手に失礼だし、あなたが望むアドバイスも決して得られないことを知ろう。

第○回全統マーク模試 ○月○日実施
氏名:
1.得点報告
英語 R  /200 ① /14  ② /44  ③ /41  ④ /35  ⑤ /30  ⑥ /36
英語 L /50 ① /12  ② /14  ③ /12  ④ /12
国語 /200 ①評論 /50  ②小説 /50  ③古文 /50  ④漢文 /50
数学1A /100 ① /20  ② /25  ③ /30  ④ /25
数学2B /100 ① /30 〔1〕 /15 〔2〕 /15 ② /30  ③ /20  ④ /20

それぞれ、大問や配点は適宜修正する。

2.自分なりの失点分析
【英語の失点分析】(例) ・選択肢の和訳が正確にできずに引っかかった ・グラフを正確に読めず、整理できずに失点 ・単語の意味を取り違えて失点した
【評論の失点分析】
【小説の失点分析】
【古文の失点分析】
【漢文の失点分析】
【数学1A】
・[方程式不等式・論理集合]
・[二次関数]
・[図形]
・[確率] ※他科目も同様…

3.これまでの学習の反省⇒修正点(例)

  • 英単語を即答できるまで覚えなかったために、模試でいちいち単語の意味を思い出すのに時間がかかり、全然時間が足りなかった。 ⇒単語帳は聴き流しだけでなく即答するトレーニングも取り入れる。
  • 構造把握を音読しながら瞬時に出来るようになるまで学習を徹底しなかったために、模試では全然和訳できなかったし構造把握にも時間がかかった。 ⇒CDの音声に合わせて音読しつつ、その場で構造把握が出来るようになるまで集中して復習に取り組む。
  • わかりやすい和訳を普段から作らず、おおざっぱすぎる直訳に終始していたために、模試では長文の内容が理解できなかった。 ⇒読み込みの初期段階では自分なりに「日本語として意味の通る和訳」をしっかり作成してから音読トレーニングをする。

4.○か月後の模試の目標、それまでの勉強方針・計画・テーマ

  • [英語]2か月後のマーク模試では120点⇒150点を目標。そのためには今回30点分失点した長文読解で得点できるようにする。単熟語は○○を全て即答できることを目標。『速単』『速熟』の2冊に集中して読み込む。問題演習は学校で行うものに留め、夏までは読み込み重視で勉強する。
  • [国語]2か月後のマーク模試では100点⇒130点を目標。まず漢文と評論で40点以上取る。それまでに○○で解法・句法を身に付けて共通テスト黒本で10年分演習する。これを1.5か月でこなす。10年分解いた後、適宜必要だと思ったら追加で勉強を行うか古文に時間を割く。
  • [数学1A]2か月後のマーク模試では6割⇒8割目標。大問の後半レベルでミスしているのでセンチャの重例、実戦を復習。確率は基本計算とパターンで失点しているのでセンチャの基本例題から復習しなおす(1か月~1.5か月)。ときおり模試問題集も解きつつ定着の確認と形式慣れ、制限時間のシミュレーションを行う。
  • [数学2B]
  • [世界史]
  • [日本史] ※他科目も同様

「こんなに書かないといけないの…?」と思われた人は模試を正確に分析することは出来ない(前提条件すらクリアしてない)。模試の得点を確認したら、それぞれの失点原因を分析しなければならない。

なぜ失点したかが分からないということは、今後の学習に生かすことができないからだ。 そもそも、失点した原因を分析できない人が成績を伸ばすことができるだろうか。

分析が出来ない人はデタラメに勉強するしかできず、成績が上がるかどうかは運に左右されることになる。スポーツでも勉強でも仕事でも自己分析できる人は強い。 私は模試を受けるたびにこういった模試ノートを書き(実際はA4の紙に書いて机の前に貼っていた)、勉強法の見直し、計画の修正などを行っていた。

あなたもぜひやってみてほしい。模試は受ける事それ自体よりも、この模試ノートをしっかり書くことが重要だと言ってもいいくらいだ。 何度も繰り返しお伝えしているように、模試は受けることが目的ではないし、得点や判定に一喜一憂するものでもない。

あなたが1年後の入試本番で合格するために欠かせない、【勉強法の見直し】と【今後の計画の見直し】をするための最高の機会なのだ。これをやらずに模試を受けているなら、貴重な受験費用と時間を無駄にしていると言わざるを得ない。

ここまで書いてみて、あなたは「6割以下の科目は模試ノート書かなくてもいいの?矛盾している気がしてよくわからなくなった」と思われたかもしれない。もう一度整理しておこう。

  • マーク式で6割以下の得点の科目は【解説】をがっつり読む必要はない(比較的できたところは当然読んだ方がいい)。もちろん6割というのはあくまで目安
  • ただし上に書いた模試ノートはしっかり書いておく。【普段の勉強法の反省】【次の模試までの目標・計画】などは得点に関係なくしっかり書くこと。実力が足りずに失点原因がわからない場合は無理して書かなくても良い。
  • 6割以上の科目は【○で間違えた問題と△マーク】の問題を中心に解説を熟読し、失点原因を細かくノートに書き留める。

以上のような感じで整理してもらえるだろうか。  

勉強した分野が出来たか、得点できたかだけ考える。力を入れてない分野の得点は気にしない

おそらく、たいていの受験生のマーク模試英語の感想はこうだ。「時間が足りなくて出来なかった。」これはもちろんそうなのだが、的を射た感想とは言えない。

あなたは、マーク模試の英語を時間内に読み切るための読解・速読練習をどの程度やってきたのか。共通テスト英語を時間内に読み切る速読力を身に付けるためには速単などの50個~100個くらいの長文読み込みはしてないとダメだ。

そういった勉強をせずに時間が足りないのは当たり前の話で、時間が足りなかったという感想はハッキリ言って分析力が低すぎると言える。あなたがやっていないところを気にしても仕方がない。

あなたがこれまで勉強してきて、それでもできなかった部分を気にするべきだ。 以下では、2人の受験生の簡単な分析例を挙げてみよう。

1月から受験勉強を開始した受験生の、5月河合マーク模試の反省

彼は今年の1月から受験勉強を開始した。スタート学力は中学レベル。『くもんの中学英文法』から勉強をし直し、基本はここだ、技術70、キクタン4000、キクジュク4000、レベル別3と4、キムタツ式速読特訓ゼミ共通テストレベルなどを勉強した状態で5月の河合模試を受験した。 文法問題集はほとんどやっていないため、彼は大問3、4、5に時間を割き、大問1は適当にマーク、大問2は無回答、大問6は時間が足りずに適当にマークしたとのこと。その結果、

  • 大問3 26/41 3つ凡ミス
  • 大問4 30/35 1ミス
  • 大問5 30/30 満点

という結果をもらった。

これを見てどう思っただろうか。ポイントはいくつかある。1つは、自分が勉強したところに時間を割き、対策していない部分(文法問題集と大問6)は無視したという所だ。

文法問題集をまだ始めていないので、大問2は出来なくて当然。読解量もまだまだ足りないので、大問6まで解ききれないのは当然。 下手に全ての問題を解こうとすると、1つ1つの読解が雑になり、結局「普通に読んで正解できてるかどうか」がわからなくなってしまう。

精読を終えた段階で気にしてほしいのは「文章を正しく読めるか。短い長文で確実に得点できるか」ということだ。 その点、第3問から第5問の得点を見ると86/106=81%。つまり彼が今まで勉強してきた分野は81%程度の成果と見ればいい。

これはそこまで悪い結果ではない(ベストは100%だが)。全体の得点はおそらく低いが、自分がやってきた部分の得点は悪くないことが分かる。 このように、自分が勉強してきた部分に関わる大問だけ気にするようにしよう

全般的に言って、今の時期、時間内に余裕を持って解ける現役生はほとんどいないはずだ(浪人生以外)。以下は彼が書いた模試の英語の反省⇒修正ポイントだ。 kawai5-ti もちろん上の反省はパーフェクトではなく、まだまだ分析訓練が必要なものだ。

  • 単語についてはキクタンBasic4000を覚えていたが、まだ6割程度の定着率で単熟語の不足を痛感したようである。
  • 解釈、長文はともに頭を考えず単調に音読する傾向があったようで、いざ模試の長文を読むときになるとなかなか理解できなかったそうだ。これは普段の読み込み練習で集中して頭を使って音読する習慣を付けなければならない。

上の画像では比較的簡単な反省だが、本来はもっと細かく失点原因を分析するべきだ。本人にも強く言ったが、「大問3の凡ミス」という書き方はしてはならない。凡ミスというのはあなたの実力不足に他ならない。

あなたは中学レベルの英語の問題を凡ミスするだろうか? よほどの学力不足か、寝不足とかでない限り凡ミスなどしないはずだ。学力ギリギリのテストを解くときに凡ミスは多発するのだ。学力が上がると、共通テストレベルの問題で凡ミスすることは確実に少なくなる。  

3月から本格的に英語を勉強始めた、理系受験生(非難関)の5月河合マーク模試の反省

彼女は3月から「キクタンBasic4000」「安河内の英語はじてい」4月から『スマートリーディング』を勉強し始め、スマリーの途中の段階で河合マーク模試を受けた。結果は86点。当然第6問まで解くことはできなかったが、第3問から第5問にかけては得点には至らないものが多かったものの、以前よりははるかに読めたという感想をもらった。(当初は全く英語が読めない状態だった)

まだ詳しく分析と感想をもらってないから詳しくは書けないが、いくつかポイントを挙げる。彼女の場合、勉強したのは「単語」「解釈」なので、気にするべきポイントは以下のようなものだ。

  • 勉強した単熟語を「即答」出来るレベルだったか
  • 見たことのない単熟語はどのくらいあったか
  • 和訳できない英文がどのくらいあったか

知らない単語には○をつけてもらっていたが、ざっと見ても100個~200個くらいはあった。つまり語彙力はまだまだ足りないということだ。したがって、次の模試までの勉強テーマの1つは語彙の強化と言うことになるだろう。

解釈についてはなかなか成果が出ていたようなので、そのまま継続。次の模試までのテーマは「単熟語と解釈をがっちり固め、長文を50本程度読めればいい」といったものになるだろう。彼女の場合、次は6月にあるということなので、単熟語帳と解釈と『レベル別長文3』あたりが学習目標になるだろう。

彼女の志望はそこまで英語が難しくないのでこのペースだが、難関大学志望なら理系といえどもっとペースを速めた方がいいかもしれない。そのあたりはあなたの志望大学と現状学力を合わせて考えるべきだ。

無料配布!自分で使える模試分析シート

sample-analysis上に書いたような分析をするためのシートを作成したので配布する。プリントアウトして、模試のたびに書いていこう。

analysis-sheet

開くとこんな感じになっている。
ぜひ活用してほしい。  

 

 

まとめ

繰り返すが、模擬試験は試験本番で合格点を取るために受けるものだ

決して、結果や判定だけを見て一喜一憂するものではない。 模試を受験する前、受験している時、受験した後、それぞれのタイミングで常に「模試は本番のためのもの」という意識を持っておくようにしよう。

 

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