今回は『共通テスト現代文 マッピング解法』という参考書のレビューと使い方をご紹介します。
この本は
- 現代文が苦手でどうやって解けばいいか分からない
- 共通テスト現代文が難しい。いつも時間が足りなくなる
- 読めば読むほど選択肢がわからなくなってしまう
- 解法本は学んだけど結局使いこなせていない
といった人におすすめできる現代文の解き方を学ぶ参考書です。
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本書のコンセプト
旧版も、センター試験を素材に、同じような解法での練習ができるので余裕があれば買いましょう。
ここでブックマン社の著書ページの説明を引用させていただきます。
ぼくが特に注目してほしい箇所を太字にしています。
「正解」は考えずに、見つけるもの!?
解法手順はたった1つ、作業は3つ。
王道かつシンプル、なのに画期的な新解法--それが、「マッピング解法」だ !
実はマッピング解法は、「正解の根拠は必ず本文中にある」の原則に則っている王道的な解法だ。
それを、次の3つの視点からわかりやすくシンプルに「型」として整えた。1 ●解法手順の重視–実力の安定化
小説でも評論でも、設問タイプがどうであれ、ただ1つの解法で正答を導けるよう、解法手順を明確にした。設問タイプや調子の良し悪しにかかわらず、安定した実力を発揮できる「型」を身につけてほしい。2 ●現実性の重視–得点の最大化
「時間がないので、これ以上は検討せずに答えを出す」のも試験における大事な判断だ。限られた時間のなかで得点を最大化するための現実対応力=即断速解力を養えるよう、余計な解説は省き、「見切るタイミング」を示している。3 ●視覚的把握の重視–失点の最小化
自分なりの解釈、感情移入をはさまずに、本文中に書かれている重要箇所を、わかりやすく「視覚化」したのが、本書で紹介している「言い換えマップ」だ。これを自在に作れるようになれば、共通テスト現代文は恐るるに足らず !
類書との違いと良いところ
構造で文章を捉えていく
この本が特に優れているのは、現代文を主観や解釈をあえて入れずに、構造=形で捉えていくということ。
つまり徹底した論理で見ているということ。
超一言で言うと「言い換えを見つけて解く」という解法ですが、
これは論理(イコール)をたいせつにして解くということです。
これは現代文だけでなく英語でも当然大切な姿勢ですが、
なかなかこの「言い換えで解く」ということが徹底してできる受験生は少ないように思います。
基本的解法が1つのみで混乱しない
また、解法パターンをあれこれ提示しすぎて、
結局ぜんぶ使いこなせない受験生も多いです。
本書が良いのが、あれこれ技術を提示せず、ただひたすら
言い換えを探して解くという1つのメソッドに終始しているところ。
これなら初心者でも苦手な人でも身につけることができるハズ。
満点(完璧主義)ではなく引き際も提示してくれている
とくに類書と比べて優れている点は、
限られた時間のなかで得点を最大化するための現実対応力=即断速解力
を鍛えるために、時間がない場合は深追いせずに95%ほどの確信度で終わらせたり
難問に時間をかけすぎないという判断基準も示してくれているところ。
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現代文で大事故を起こす最大の原因は時間が足りないコトです。
つまり時間がかかる難問に時間をかけるよりも、簡単〜標準レベルの問題を確実に解いていけば、
少なくとの7割は切らないというな大事故を防ぐことが出来ます。
この考えは普通の参考書にはなくて、
「すべて問題が解ける」という前提の上で解説がなされています。
もちろんそのスタンスは大事なのですが、
果たしてそこまで現代文を極められる受験生が(その時間的余裕がある人が)
どれだけいるのか?ということを考えると、
特に共通テスト現代文は現実的に「そこそこ(7割、8割取れたら万々歳)」くらいの目標点数を
確実にコンスタントに取れるような勉強をしたほうが、多くの人の場合賢明だと言えるでしょう。
「そんな後ろ向きな・・・」と思う人もいるかもしれませんが、
大事なことは理想主義と現実主義の両立です。
9割〜満点を目指すぞ!という人は全然目指してもらって構わないのですが、
理系受験生や時間がない人にそれを押し付けるのは酷というもの。
欲張らずに取れる問題を優先的に取れる考えを身につけたほうが良いと思います。
そういった思想が前提にある参考書ですから、
いまから時間がないけど早急に共通テスト現代文をなんとかしたいという人にはおすすめです。
私立大学・国公立大学志望の人にもおすすめ
この本の対象はおもに共通テスト現代文ですが、
言い換えで解く考え方は私立・国公立大学でも変わりませんから、
ぜひぜひやってみることをオススメします。
効果的な使い方と参考書プラン
- 事前に漢字・評論語句の勉強は済ませておくと吉(1は時間無い場合飛ばすか2と並行で)
- 本書を読む。1周目はどんどん読み進めていく。3日〜7日を目安に1周。
- 2周目は問題を自分の力で解いてみる。言い換えマッピングを自分で見つけて選択肢を絞る
- 3〜7周ほど繰り返しマッピングを自分のモノにする。
- 共通テスト過去問最新年度から5年分〜10年分を解く。読解マッピングをアウトプットしていく。
- 本書にもある「詰め」の解説も読んでおきたい人は『共通テスト現代文 即断速解マッピング解法』ウェブ解説編はこちら | ニュース | ブックマン社』から解説をダウンロードして読んでみる。
まとめ・さいごに
「現代文を見る」「構造で解く」という視点はぼくも受験生の頃、偏差値が70を超えてから意識し始めたコトでしたが、本書はそれをわかりやすく共通テスト現代文という題材を通して解説した良書です。
そしてこの思考は英語長文読解でもそのまま応用することができます(英語は言い換えを見つけられるかが上級者への道ですから)。
共通テスト対策をしたい人も、早稲田上智など難関大学の国語を攻略したい人も、一度手に取ってみてくださいね。
著者プロフィール 日守 研 ( にっか・けん )
日守 研 ( にっか・けん )
1959年神奈川県生まれ。
北海道大学農学部卒業。
出版社勤務を経て、和田秀樹代表「緑鐵受験指導ゼミナール」の立ち上げ、カリキュラム整備に参画するかたわら、
『数学は暗記だ ! 』『超速 ! 日本史の流れ』『共通テスト漢文解法マニュアル』(現・8本のモノサシ)『樋口裕一の小論文トレーニング』など、数多くのロングセラー参考書の企画・編集を手がけた日本一の参考書スペシャリスト。
ブックマン社といえば和田秀樹先生の著書や共通テスト対策本で有名なのですが、そんな数々のロングセラー作品を手がけた人なんですね。この本は2017年に出版された新しい本ですが、今後の著書に期待です。
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