ここまで
- 「成績を上げるために必要なヒーローマインドを身につける方法」
- 「効果的に教材を完ぺきにする具体的な2つの勉強法」
2つの勉強法について解説をしました。1冊の教材を完ぺきにすれば成績は上がります。しかし大学受験は限られた時間のなかで、ライバルを追い抜いて成績を急上昇させる必要があります。
そのために必要不可欠なことは『戦略』です。効率的な受験戦略を知り実践することが大逆転合格には必要です。
ここでは「ヒーローストラテジー」と題して、大逆転合格に必要な3つの戦略について解説をしましょう。
- 【戦略1】共通テスト重視
- 【戦略2】英語・数学重視
- 【戦略3】過去問重視
【戦略1】共通テスト重視
1つ目の戦略は共通テストを重視しようというものです。多くの受験生や学校の先生、予備校の先生ですら「共通テストはキソだから、二次対策していれば大丈夫」という間違った戦略をとっています。
ここで明らかにしておきたいのですが、共通テストで高得点を取るのはかなり難しいです。たしかに知識はキソレベルかもしれません。しかし、
- 制限時間が厳しいこと
- 全科目で高得点を取らないといけないプレッシャー(ミスが許されない)
- 入試本番一発目の試験であること
- 広く浅く確実な知識を身につける必要があるため意外に勉強量が多い
その他さまざまな理由がありますが、共通テストで8割以上の得点を取るのはそんなにカンタンなことではありません。でないと各科目の平均点が5割〜6割になる理由が説明できません。
そして何より、ほぼ全ての国公立大学を受験する人にとって、
- 共通テストをクリアできなければ二次に進めない
- 共通テストで余裕を持った得点を取らなければ合格が危うい
- 共通テストでほぼ不合格が決まる、足切り
という壁が存在するのです。ハッキリ言いますが、ほぼ全ての受験生が共通テストで爆死します。共通テストを受けて、その時点で「来年」あるいは「第一志望を受験できない」という残念な結果に終わります。
ほとんどの国公立受験生にとって共通テストが非常に重要な試験ですし、共通テストは決して軽視すべきものではないのです。
いくら二次向けの勉強をしようが、数3や論述や英作文など対策をバッチリしようが、共通テストで合格点を取れなければ全くもって意味がありません。
もちろん仮に共通テストの結果が悪くても落ち込む必要はなく、私立入試や二次試験、後期試験など3月末まで全力で受験勉強を続けるべきです。とはいえ、あくまで最優先で取り組んでほしいのが共通テストなのです。
共通テストを重視すること、共通テスト対策を中心に勉強することには以下のメリットがあります。
- 挫折しづらい(共通テストは基礎知識があればいいので、短期間の基礎の暗記をすれば十分に解くことができる。
- 解説が理解できないこともないので挫折しづらい)
- ムダな問題がない(二次私大レベルの問題集は頻出度が低い問題も多い)
- 良問しか無い(共通テストは練りに練られた最高級の問題ばかりなので実力がつけやすい)
- モチベーションが上げやすい(共通テストは二次に比べて点数が取りやすいのでやる気が出ます)
- 模試で結果を出しやすい(当然マーク模試で高得点を取りやすい)
- 勉強にハリが出る(過去問や模試を解くと本番を意識できてメリハリが出る)
- 目的意識が明確にしやすい(過去問のために勉強をするためにより効果的な勉強法を考えられるようになる)
過去指導した受験生の中には、共通テスト対策をまず優先して勉強してもらうことで、3ヶ月で共通テストの英語を100点台から170点台に伸ばした受験生もいました。
共通テスト・マーク模試で早めに合格点を取れるようにすることで精神的にも余裕ができて、基礎固めもスムーズに行うことができるので、効率よく受験の点数を上げることができます。
【戦略その2】英語・数学重視
2つ目の戦略は英数の2科目を先に勉強するということ。つまり国語理科社会は勉強せずに英数を徹底的に集中して勉強するということです。理由は以下の9個です。
1.英数は勉強量が圧倒的に多い
例えば日本史・世界史は4000〜5000の用語を覚える必要があると言われていますが、英語は英単語だけで4000語覚える必要があります。英単語の勉強だけで歴史という1科目が終わるくらい、英語は勉強する量が多いのです。
数学も同様で必要な勉強量が多いです。英数の必要な勉強量は国語・理科・社会の5倍〜10倍ほどあると言ってもいいでしょう。
2.英数は学力が伸びるのに時間がかかる
英語と数学は勉強量が多いため、当然伸ばすのにも時間がかかります。それに単純な暗記科目でもないため、学力が成熟するためにもある程度の時間が必要なのです。
つまり直前期に焦って勉強をしても、英語数学が一気に急上昇することはなかなかありません。それに直前期は国語理科社会と全科目やっているために英語数学にかけられる時間はせいぜい2時間〜3時間程度でしょう。その程度の勉強時間で一気に伸ばすのはかなり難しいです。
だから受験の序盤期間で英語と数学を一気に伸ばすことが賢い戦略なのです。
3.英数は学力が落ちにくい
伸ばすのに時間がかかる英数ですが、その分学力が落ちにくくもあります。
理科社会などの暗記要素が強い科目は、覚えれば良いので得点は比較的上がりやすいです。しかしその分、忘れやすいために学力が下がりやすいのも事実。
英語や数学は感覚要素も強いために、理社ほどには急激に学力が落ちることはありません。
理社を先に勉強してしまうとどうなるか?その分余計な復習時間が必要となるため、英数にかける時間が減ってしまいます。
- 英数を先に勉強する
- 理社はあとでやり入試にギリギリ間に合わせる
くらいの順番で勉強することで、余計な復習時間もとることなく効率的に勉強をすることが出来るようになります。
4.やる気が続きやすい
英数のみを集中して勉強するということは、それだけ早く英数を伸ばすことが出来るということです。毎日英語を1時間勉強する人と、英語を3時間勉強する人とでは、英語が伸びるのに実に3倍の差が生まれます。
つまり
- 1時間の人が300日伸ばすのにかかるとしたら
- 3時間の人は100日で伸びる
ということ。どちらがやる気続きやすそうでしょうか?当然3時間の方ですよね。人は300日も「伸びるはずだ」と信じてコツコツ頑張ることはできないでしょう。
100日=3ヶ月ちょいなら我慢できるでしょうし信じることもできるはず。だからぼくは全科目に力を分散させるのではなく、短期集中で一気に学力を伸ばしてやる気も引き出していって欲しいと思っています。
5.感覚がつかみやすい
英数を集中して大量に勉強することで「得点の感覚」「英語ができる人の感覚」をつかみやすくもなります。たとえばスポーツのあるプレイ、例えばバスケットボールのシュート練習をしていると想像してみましょう。
100回、200回とシュート練習をしてきて「なんかコツがつかめてきたぞ・・・!」となってきました。
その時に
- コツがつかめたから練習終わり。また明日やろう。
- このコツを完全に身につけるためにあと100球練習しよう
どちらの方が上達しそうでしょうか?当然後者ですよね。せっかくコツや感覚を掴みかけた時にやめてしまうと、その感覚はすぐに手元から離れてしまいます。
勉強も同じで、短期間で大量の時間を使って英数を勉強することで、通常よりも早い段階で「できる人の感覚」を身につけることができるようになります。
6.理社で差がつかない
英数を重視する理由には、理社が重要でないという理由もあります。もちろんやらなくていいわけではありません。しかし多くの大学入試にとって、英数が配点も大きくまた差がつきやすい科目であることは知っておきましょ。
理社はある程度はみんなできるために差がつきません。いくら高得点を取っても大して差がつかないために、理社でがんばってもあまり効果的ではないのです。
特に私立受験生で注意が必要なのが「社会オタク」と呼ばれる人たち。ほとんどの私立大学では英語で勝負がきまるので、社会で9割取ろうが、英語で取れなければ合格できません。
7.オタクにならない
6と関連して「理科オタク」「社会オタク」を防ぐために、初めは英数のみ勉強した方がいいです。
理科や社会は「やればすぐ結果が出やすい」ために危険です。なぜか?人は「伸びたら楽しい」ために、英語数学をやらずに理社ばかりやってしまいがちだからです。
したがって、初めは英数のみにしぼって勉強をして、英数が固まってきたら理社に取り組むようにして欲しいと思います。
8.浪人しても合格しやすい
英数重視のメリットは、仮に不合格になり浪人したとしても、次の受験で有利になるという点。
やはり英数が重要であり差がつきやすい科目でもあるので、英数が完成されていて得意科目であるということはそれだけで相当なアドバンテージを握ることができます。
逆に浪人生で英語・数学が苦手、というのはかなり危険です。いますぐに英語数学の基礎固めをおこない共通テスト高得点を目指して勉強するべきです。
9.一科目を極めると他科目も究めやすい
1つの科目で伸ばすことができると「伸ばすためのコツ」のようなものをつかむことができるため、英語の勉強法や伸ばす感覚を、国語、理科、社会に応用することができます。
イチローのような超一流の選手の言葉や考え方が、他のスポーツ選手やぼくらにでさえ響くように、1つのものを極めたら、他にも応用することが出来るのです。
1つのものを極めるためには?当然圧倒的な時間と量をかけるべきです。
中途半端に全科目を同時並行で勉強するよりも、まずは1つ2つの科目に絞って勉強したほうが、結果的に全科目を完成させるのが早くなるのです。
【戦略3】過去問重視
3つ目の戦略が過去問を重視するということです。もちろん参考書や問題集で実力をつける勉強をやればいいですが、試験本番であなたが解かなければならないのは過去問です。
したがって、共通テストや標準レベルの問題集で実力をつけたら、早め早めに過去問を解き始めていきましょう。過去問を定期的に解いていくことで、自分に何が足りないのか、どういう勉強が必要なのかが明確になります。
過去問を問題集として活用することで、
- 本番で出た問題なので、いつもより本気で覚えようとする
- 試験の出題形式に慣れるので得点感覚を磨ける
- 本番の問題に触れることで普段の勉強の意識を上げられる
などなどのメリットがあります。したがって大事なことは、なるべく早め早めの段階で過去問を解けるレベルの実力を身に付け、過去問をどんどん解いていける流れを作っていくことです。